プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

労働者は無関心なのではない!組織化のための体系的指南書。『職場を変える秘密のレシピ47』(アレクサンドラ・ブラッドベリー、マーク・ブレナー、ジェーン・スロータ著/菅俊治、山崎精一監訳/日本労働弁護団)

『職場を変える秘密のレシピ47』(アレクサンドラ・ブラッドベリー、マーク・ブレナー、ジェーン・スロータ著/菅俊治、山崎精一監訳/日本労働弁護団

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 「職場を変える秘密のレシピ47」はアメリカ労働運動の活動家が集う「レイバー・ノーツ」による、労働組合の組織化について記した1冊です。労働組合運動によって職場を変えるための方法を47のトピックでわかりやすく説明しています。アメリカの労働運動についてを記した本書ですが、元日本労働弁護団事務局長の管俊治弁護士と、明治大学労働教育メデイア研究センターの山崎精一氏による翻訳で、より一層日本の労働運動にも生かせる内容となっています。

「無関心」という誤解
 組織化について話をすると、多くの人が職場は「無関心」で身動きが取れなくなっていると愚痴をこぼします。この無関心というのは大きな誤りで、少なくとも給料や待遇など、誰もが仕事について大なり小なり何かを考えています。しかし、実際にはモノを言うことを恐れ、自らを非力だと感じているに過ぎません。組織化を行うことで労働者は職場を変える力を持つことができるようになるのです。

「トラブルメーカー」が職場を変える
 組織化とは、その人自身や同僚が不公平だったり不当な扱いを受けているなど、職場の問題を「何かをしたい」と思っている状態のことを指します。上司にとってそれはトラブルに他なりません。最も優れたオルガナイザーは、「トラブルメーカー」と呼ばれ忌み嫌われてきました。「トラブルメーカー」こそが職場を正しい方向に変える力を持っているのです。

組織化に向けた対話
 組織化は一朝一夕でできることではありません。丁寧な対話を通して労働者の気持ちを1つにまとめていかなければなりません。労働者の多くは無力を感じ、問題に対する諦めを抱いている者も少なくはありません。相手に寄り添い、どんな不満や問題があるのかしっかりと傾聴し、相手に対して敬意を払うことで、少しずつ個々の問題をみんなの問題へと落とし込んでいく必要があります。問題を共有し、組織化が行われることで、1人では非力でも、会社に対抗しうる強い力を持つことができるのです。

 本書は、組織化後の実践的な組合活動についても詳細に解説しています。職場に疑問を感じたらまず手に取ってもらいたい1冊です。

稲葉一良(書記次長)

※本書のまとめ買いの注文はこちらから→http://roudou-bengodan.org/secrets/

「学び続け成長し続ける」組織になるために。『チームが機能するとはどういうことか』(エイミー・C・エドモンドソン/英治出版)

『チームが機能するとはどういうことか』(エイミー・C・エドモンドソン/英治出版

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 心理的安全性という言葉を、皆さんは聞いたことがありますか。「チームが機能するとはどういうことか」は、エイミー・C・エドモンドソンによる、「学び続け成長し続ける」チームを作るための組織のあり方を記した一冊です。

変わるチームのあり方
 これまでの「チーム」という概念は、「スポーツチームや音楽家のグループのように、物理的に同じ場所にいて、信頼を築く時間がある、固定された集団」であったと著者は言います。時代は移り変わり、現代では、オンラインで遠くの人々が一つのプロジェクトの下、集結するような形であったり、ある目標に向けて、適材適所のチームが作られ、その目標の達成と共にまた散り散りになっていくような形に変化してきています。

求められる「チーミング
 現代のチームでは特に「チーミング」が重要です。チーミングとは、絶え間なくチームワークを実践し続けることです。特に後者のチームの場合、従来のチームと違い、場所の固定がなく、信頼を築く時間も不十分であることが多く、メンバーも往々にして流動的です。このような特徴がチーム作りの障害となっています。チーム(名詞)というものがあるという考え方から、チーミング(動詞)する組織へのシフトが大切になってくるのです。

ポイントは「心理的安全性」
 チーミングを行うとき、最も大切なものの1つとして、著者は「心理的安全性」を挙げています。心理的安全性とは、チーム内で誰にどのような指摘をしても、どのような事を提案しても拒絶されることがなく、罰せられる心配がないような状態のことを言います。

 この考え方は、一見すると馴れ合いによる日本的人間関係と似て映ることもありますが、実際は真逆といってもいい考え方です。特定の目的のために、職種や職位、立場の別なく自由な発想を口にすることができ、それらが正当に公平に扱われる事が保証された組織のみが「学び続け成長し続ける」のです。

 「組織化」と「チーミング」には多くの共通点があります。私たちプレカリアートユニオンも、常にチームワークを発揮し続ける集団を目指し、日々、組織化を行っていきたいと思います。

稲葉一良(書記次長)
 

【動画公開】労働組合で心の性について話してみよう。

 youtu.be

プレカリアートユニオンは、セクシュアルマイノリティLGBT労働相談に対応しています。

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こんなことで困っていませんか?
健康診断や服装などについて、入社時に申告した性と別の性での対応を求めたい。
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労働組合なら、相談だけでなく、解決に向けて、一緒に動くことができます!

誰でも一人でも加入できる労働組合プレカリアートユニオンにご相談ください。
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新型コロナ関連の労働問題についてプレカリアートユニオンが取材協力した記事が『週刊東洋経済』2020年5月2日・9日号に掲載されました

 

新型コロナ関連の労働問題についてプレカリアートユニオンが取材協力した記事が『週刊東洋経済』2020年5月2日・9日号に掲載されました。

 

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「平均賃金の6割」は給料の6割ではありません! 平均賃金の6割なら給料の4割程度。労働組合に加入して10割の賃金を請求しましょうしょう

「平均賃金の6割」は普段もらっている給料の6割ではありません!
コロナの影響で会社都合の休業や一時帰休を命じられ、「平均賃金の6割支給」すると言われた方、「平均賃金」の計算にはカラクリがあります。
「平均賃金の6割」は普段もらっている給料の4割程度。祝日の多い5月では36%程度になってしまうこともあります。

平均賃金は、直前3ヶ月の賃金の合計額を(所定労働日数ではなく)3ヶ月の総日数で割って算出します。

仮に、月給40万円の人が5月1日から一時帰休になって、会社が平均賃金の6割を休業手当として支払うとしている場合。

「直前3ヶ月の2月、3月、4月の賃金の総額(40万円×3ヶ月=120万円)」÷「2月、3月、4月の総日数(29日+31日+30日=90日)」は、1万3333円となります。

5月は、1万3333円×(土日祝日が休みの会社なら)18日なので、23万9994円。この平均賃金23万9994円の6割だと、14万3996円。

これでは生きていけません。

神奈川労働局の「平均賃金について【賃金室】」
https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/saiteichingin_chinginseido/heikinchi.html?fbclid=IwAR2uKODWQKQPeKRzgTNI_-2NJkoooAMWbd44GpX5vbYLOH-J-wqYJ5NB4hk

会社都合の休業の際、労働基準法26条で「使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。」と定めています。

 

会社の都合で仕事を休まされている。休んでいる分の補償はないのか。|厚生労働省

ただし、これは、労働基準法の定めと違法かどうかの行政解釈は、使用者に罰則を科す、最低限の基準を定めたものであって、民法上10割請求することを妨げるものではありません。平均賃金の6割だけ払えばOKというものではなく、労働者は賃金全額の請求が可能です。

プレカリアートユニオンでは、会社都合の休業に対して、団体交渉を行い、賃金の全額補償も実現しています。一時帰休を命じられたOYOグループ支部にも、自立と互助の精神の下、平均賃金の6割では生活できない、10割請求して生活を守ろうという仲間が結集しています。

precariatunion.hateblo.jp

労働組合には、憲法と法律で定められた様々な権利があります。

労働組合が、会社に団体交渉を申し入れた場合、会社は正当な理由なく拒むことはできませんし、団体交渉には誠実に応じなければなりません。誠実、というのは、労働組合側の主張をそのまま受け入れなければならない、ということではありません。主張の根拠を示して、労働組合側を納得させる努力が必要なのです。

もし会社が、団体交渉で、経営上の理由で、会社都合の休業中、平均賃金の6割しか払えないと主張するなら、その根拠である経営上の資料を開示しなければなりません。そもそも休業をしなければならない経営状態なのですから、労働組合としては、経営状態について説明を求める必要があります。

その上で、今の事態が何ヶ月も続くなかで、例えば、10割払ったら3ヶ月しかもたないが、6割なら6ヶ月もつ、という根拠を示した上での事業計画などの説明を聞いて、そうであれば、この割合で同意する、しないと合意形成をするわけです。

経営者側の経営上の理由、という主張だけ聞いて、会社都合の休業について、最初から一方的に平均賃金の6割(実際の賃金の4割程度)で我慢しなければならない、ということはありません。ケース・バイ・ケースで話し合って判断すればよいのです。

プレカリアートユニオンには、コロナ便乗解雇、コロナ便乗リストラ、職場のコロナウイルス感染対策などの相談も寄せらています。労働者どうし、助け合い、生活を守るため闘っていきましょう。

【労働相談は】
誰でも1人から加入できる労働組合
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〒108-0014 東京都港区芝5-29-17 MY三田ビル1F
TEL03-6809-6055 FAX03-4335-0971
※2020年5月19日頃まではTEL03-6276-1024
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メール info@precariat-union.or.jp

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賃金補償問題、不当労働行為問題について交渉していた東京都内の派遣会社と和解!

賃金補償問題、不当労働行為問題について交渉していた東京都内の派遣会社と和解。取得できなかった有給休暇についても補償することで合意しました。

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