プレカリアートユニオンブログ

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時代を反映するアートに現れる様々な差別・不平等とアートのフィールドでのフェミニズムの実践について記した1冊。フェミニズム入門にも最適。『アートとフェミニズムは誰のもの?』(村上由鶴著/光文社新書)

時代を反映するアートに現れる様々な差別・不平等とアートのフィールドでのフェミニズムの実践について記した1冊。フェミニズム入門にも最適


アートとフェミニズムは誰のもの?』(村上由鶴著/光文社新書

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 「アートとフェミニズムは誰のもの」は村上由鶴氏による著書。そもそも、誰もが言葉は知っているがその実態・実際が今ひとつ見えにくいアート、フェミニズムについてその概念をわかりやすく解説したうえでどのように関係し、表現の現場ではどのように実践が行われているのか迄踏み込んだ1冊。
■アート、フェミニズム、相互の関わりを順を追って理解できる
 そもそも、なぜ、「アートとフェミニズム」なのか両者の字面しか知らない読者はまずタイトルの時点で疑問を抱くはずだ。本書の第1章ではアートとは何かということが、第2章ではフェミニズムとは何かということが、それぞれ、その本質に深く立ち入りながらも誰にでも分かりやすく解説されている。
 1章、2章で概念を学んだ後、第3章で触れられるのはフェミニズム視点からのアートの読み解き方。現代美術に繋がるような所謂アートの業界がいかに家父長制的価値観に支配されてきたか、作品に現れる女性蔑視や軽視の数々、神話や伝説などで化け物化された女性等々、このように書くと「また男を敵視する連中が難癖を付けている」などという声が聞こえてきそうだが、本書を読むことで難癖ではなく世の中を映す鏡としてのアートの立ち位置であることが理解できると思う。続く4章ではそのアートの世界の中でフェミニズムを実践する試みが具体的な作例と共に多く紹介され結びへと続く。
 フェミニズムに対して、忌避感を抱く主に男性のなかには「自分が責められている・怒られているようだ」と感じる人もすなくないという。本書では、決して男性が敵視されているわけでも責められているわけでもないということについても丁寧に触れられている。所謂、萌え絵問題では具体的に何が問題視されているのかについても生じがちな誤解をフォローし解説している。本書はアートについての基礎知識と共にフェミニズムに対する偏見と決別するための入門書としても位置づけられる1冊である。フェミニズム入門の1冊としてもぜひお勧めしたい。
 稲葉一良(書記長)

 

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