プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

雪印メグミルク株式会社に田口運送・都流通商会争議の早期解決を要請

食品輸送の安全、道路の安全に関わる大問題です。ご注目を。


2014年1月24日
雪印メグミルク株式会社
代表取締役社長 中野吉晴様

労使紛争の早期解決のためご協力を求める要請書

 貴社の取引先であり、貴社の製品を配送している旧雪印物流グループである田口運送株式会社(代表取締役社長 田口精一)、及び田口運送グループ会社である都流通商会株式会社(代表取締役社長 田口精一)が、誠実に労働組合との団体交渉に応じ、残業代不払いなどの問題を早急に解決するように、ご協力くださるよう要請いたします。

 田口運送とそのグループ会社である都流通商会では、時間外手当としての性質がない手当(職能給、成績給、職別給、安全評価給など)を時間外労働賃金だと強弁して、ドライバーに残業代を支払っていません。長時間労働や運送中に破損した商品の弁償金を給与から天引きしたり、本人に請求したりするといった問題もあり、2012年11月以降、プレカリアートユニオンが改善を求めてきました。2013年5月には、田口運送株式会社で働くドライバーが残業代を請求して提訴し、記者会見を行ってドライバーの劣悪な労働条件の改善を社会に訴えました。

 労働組合法7条2号では、労働組合が団体交渉を申し入れた場合、使用者(会社側)は正当な理由なくしてこれを拒否することはできないと定めています。団体交渉拒否は、労働組合法違反の不当労働行為にあたります。使用者は、形式的に団体交渉に出席していればよいというわけではなく、労働組合の要求や主張に対し誠意をもって回答や説明をし、その論拠を示し、必要な資料を提示する義務(誠実交渉義務)があります。

 しかし、田口運送・都流通商会の代理人の一人である江畠健彦弁護士(石嵜・山中総合法律事務所)は、当該組合員で支部書記長の梅木隆弘の賃金を2012年6月から一方的に減額していることについて、誠意を持った回答や説明をしていません。都流通商会の団体交渉が不誠実であり、実質的な団体交渉拒否という不当労働行為にあたるため、プレカリアートユニオンは、2013年9月、東京都労働委員会に不当労働行為救済申し立てを行いました。梅木の賃金減額以外の議題についても、団体交渉における田口運送・都流通商会代理人の態度は、労使の歩み寄りによって問題を解決しようというものとはほど遠いと言わざるを得ません。

 我々組合が田口運送・都流通商会に改善を求める以前にも、当該組合員らは、同社に未払い賃金問題を解決するようはたらきかけてきました。残念ながら、同社は、交渉や話し合いで誠実に問題を解決する姿勢をみせていません。やむを得ず、当該組合員らは、残業代請求など複数の裁判を起こしてきました。2013年12月5日には、新たに都流通商会株式会社を相手取って、同社のドライバーである梅木隆弘が残業代及び一方的に減額された賃金を請求して、提訴しました。

 これまで、田口運送・都流通商会が話し合いで問題を解決しないせいで起こされている賃金請求訴訟に対応する弁護士費用は、かなりの額に達しているに違いありません。さらに、代理人が誠実に団体交渉に応じないせいで、東京都労働委員会の不当労働行為救済申し立てに対応するため、さらなる弁護士費用が必要になっているはずです。これは、実際に会社に貢献している労働者にまわすべきでものです。

 組合は、田口運送・都流通商会が、問題先送りのために多額の費用をかけ、労使間の問題を解決するには裁判を起こさなければならない、という状態に陥っていることを憂慮しています。

 組合員であるドライバーは、子どもたちが楽しみにしている雪印メグミルクの運搬をしている事を誇りに思っています。物流の現場を支え、食の安全を守り、貴社の企業理念でもある「消費者重視経営の実践」に寄与すべく、日夜働いています。交通ルールを守って、お客様の納品指定時間を守って配送し、手にする給与で家族を守って生活しています。しかし、田口運送・都流通商会は、ドライバーの健康や生活をないがしろにし、長時間労働、残業代の不払い、商品事故弁償金の給料天引きを行ってきました。

 未払い賃金請求訴訟で、都流通商会株式会社側は、「運転手はスペアキーを持っているので、エンジンをかけたままでも車を離れて休息がとれているので、長時間労働には当たらない」などと、事実とは異なる上、安全に無配慮なことを述べています。大きな車体のトラックを駐車し、休憩などでまとまった時間トラックから離れるときは、安全を守るため、エンジンを切り、サイドブレーキを引き、さらに、車輪止めを着けて車を離れるのが常識とされています。しかし、都流通商会株式会社側は、未払い賃金の支払いを免れようとエンジンをかけたまま休憩でまとまった時間トラックを離れられるなどと強弁しています。エンジンをかけたまま、まとまった時間、休憩のためトラックを離れて、万が一、トラックが動いてしまえば、大事故につながるおそれがあります。

 田口運送株式会社では、昨年の暮れも、1日23時間にもおよぶ労働を余儀なくされています。

 食品輸送の安全・安心を揺るがす田口運送・都流通商会の労務管理を是正し、組合との交渉に誠実に応じ、問題を早期に解決するよう、ご指導・ご協力くださいますようお願い申し上げます。