プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

東京都トラック協会に食品輸送の安全・道路の安全にかかわる労使紛争の早期解決にご協力を求める要請書

2014年2月7日
一般社団法人 東京都トラック協会
会長 大高一夫様

全国コミュニティ・ユニオン連合会全国ユニオン
プレカリアートユニオン
田口運送・都流通商会支部

食品輸送の安全・道路の安全にかかわる労使紛争の早期解決にご協力を求める要請書

 貴団体の会員である田口運送株式会社(東京都北区/代表取締役社長田口精一)、及び田口運送グループ会社である都流通商会株式会社(東京都八王子市/代表取締役社長田口精一)が、誠実に団体交渉に応じ、残業代不払いなどの問題を早急に解決するように、ご協力くださいますよう要請いたします。

 田口運送とそのグループ会社である都流通商会では、時間外手当としての性質がない手当(職能給、成績給、職別給、安全評価給など)を時間外労働賃金だと強弁して、ドライバーに残業代を支払っていません。長時間労働や運送中に破損した商品の弁償金を給与から天引きしたり、本人に請求したりするといった問題もあり、2012年11月以降、プレカリアートユニオンが改善を求めてきました。2013年5月には、提訴にあわせて記者会見をして広く社会に訴えました。

 労働組合法7条2号では、労働組合が団体交渉を申し入れた場合、使用者(会社側)は正当な理由なくしてこれを拒否することはできないと定めています。団体交渉拒否は、労働組合法違反の不当労働行為にあたります。使用者は、形式的に団体交渉に出席していればよいというわけではなく、労働組合の要求や主張に対し誠意をもって回答や説明をし、その論拠を示し、必要な資料を提示する義務(誠実交渉義務)があります。

 しかし、田口運送・都流通商会の代理人の一人である江畠健彦弁護士(石嵜・山中総合法律事務所)は、当該組合員で支部書記長の梅木隆弘の賃金を2012年6月から一方的に減額していることについて、誠意を持った回答や説明をしていません。都流通商会の団体交渉が不誠実であり、実質的な団体交渉拒否という不当労働行為にあたるため、プレカリアートユニオンは、2013年9月、東京都労働委員会に不当労働行為救済申し立てを行いました。梅木の賃金減額以外の議題についても、団体交渉における田口運送・都流通商会代理人の態度は、労使の歩み寄りによって問題を解決しようというものとはほど遠いと言わざるを得ません。

 我々組合が田口運送・都流通商会に改善を求める以前にも、当該組合員らは、同社に未払い賃金問題を解決するようはたらきかけてきました。残念ながら、同社は、交渉や話し合いで誠実に問題を解決する姿勢をみせていません。やむを得ず、当該組合員らは、残業代請求など複数の裁判を起こしてきました。2013年12月5日、新たに梅木組合員の未払い残業代及び減額分の賃金を請求するため、提訴をいたしました。

 これまで、田口運送・都流通商会が話し合いで問題を解決しないせいで起こされている賃金請求訴訟に対応する弁護士費用は、相当の額に達していることでしょう。さらに、代理人が誠実に団体交渉に誠実に応じないために、東京都労働委員会の不当労働行為救済申し立てに対応するために必要となった弁護士費用があるはずです。それは、実際に会社に貢献している労働者にまわすべきでものです。組合は、田口運送・都流通商会が、問題先送りのために多額の費用をかけ、労使間の問題を解決するには裁判を起こさなければならない、という状態に陥っていることを憂慮しています。

 貴団体が定めている「トラックの日」の趣旨に当労組、当支部は大変共感しています。トラックドライバーの社会的地位を一層向上させていくことが、運輸業界の未来に関わる大きな問題ととらえております。 我々の組合員であるトラックドライバーは毎日、安全安心をお届けしています。組合員であるドライバーは、交通ルールを守り、お客様の納品指定時間を守り、会社のルールを守りながら、家族も守って生活しています。しかし、組合員が勤務する会社は、このサイクルを壊そうとしています。長時間労働、残業代の未払い、商品事故の弁償金の給料天引きにドライバーはあえいでいます。この状態が続くと、ドライバーや家族の生活や安全が守れません。

 貴団体が広く進めている「Gマーク制度」(貨物自動車運送事業安全性評価事業)では、田口運送グループの都流通商会は、安全評価認定を受けています。我々ドライバーもトラックに「Gマーク」をつけ、荷主さんからの絶大な信頼を受けて、誇らしく仕事をしています。しかし、我々の仲間であるドライバーはいまだに23時間にも及ぶ長時間労働に苦しめられています。しかし、残業代も支払われていません。安全評価認定を受けている都流通商会(株)においては2013年9月、労働基準監督署より是正勧告の指導が入るという事態になっています。「Gマーク」制度の認定を受けながら労基署の是正勧告をうけるということは、制度を根幹から揺るがす事態です。

 また、未払いの残業代の裁判において会社側は「運転手はスペアキーを持っているのでエンジンをかけたままでも車を離れて休息がとれているので長時間労働には当たらない」などと、安全に無配慮な事を述べています。また、田口運送で働く組合員は、昨年の暮れには、1日23時間にも及ぶ労働を余儀なくされています。

 田口運送・都流通商会に対し、食品の安心・安全、道路の安全・安心、あわせて貴団体の理念をも揺るがすような労働法違反を是正し、労使紛争に留まることなく、ますます大きくなる社会問題に早期解決するよう、ご指導・ご協力くださいますよう、お力添えをお願いいたします。