プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

解決報告 ボイスレコーダーに救われた 外資系ヘルスケア企業でのハラスメント問題

 世界に数万人の従業員がいるヘルスケア企業A社へ、私は2014年2月に契約社員として入社した。入社後は総務部に配属、上司である総務部マネジャーは今まで3人が辞められ、今回ハラスメント行為を行った4人目の上司C氏は2017年2月に入社。C氏とは最初は良好な関係を築けていた。C氏の引立てにより2018年5月に私は正社員にもなった。
 エスカレートする下ネタ発言
 同じ頃、オフィスの一部解約&改修プロジェクトが始まり、繁忙がピークに達し、同年の秋に、C氏の上司にあたる人事部長がリストラされ、外部から新しい人事部長K氏が就任される等の環境の変化からか、C氏は以前に比べて、仕事の指示が徐々に合理性や一貫性が欠けるようになり、いわゆる「丸投げ」の形で仕事の指示も増えた。私だけに言う下ネタの回数も増えていった。
 C氏本人に自身の言動についての相談もしたが、状況は良くならず、むしろ悪化したため、C氏の問題発言を記録したいと考えるようになり、私はボイスレコーダーを職場に持込み、日々の会話を録るようになった。
 社内で相談したら意趣返しが
 2019年6月、私は社内のコンプライアンス相談窓口と人事部長K氏に、C氏の問題の言動を報告し、事実調査と改善を求めた。数日後、C氏の態度はそれまでと大きく変わった。下ネタこそ言わなくなったが、業務指示をする時は、あえて「これは業務命令だ」といった高圧的な言葉を使うようになった(特に私に)。私は不安に思い、人事部長にC氏の様子を伝え、また報告した件の現状を訊ねたところ、人事部長からは「会社としてすでに対応済です」というだけの返事だった。これ以降のフォローも一切なかった。
 そして7月に入り、C氏は突然私に、物量が多かった担当の業務の担当変更を命じた。業務命令に従い、私は他の課員に自分の業務を渡したが、C氏は代わりとなる業務を私に割振りはしなかった。これが「仕事外し」の第1弾だった。12月に第2弾が実施されようとした目前、私はプレカリアートユニオンへ相談に行き、加入し、上司が行ってハラスメント行為の是正を求めるため会社に団体交渉を申し入れ、今年1月に初回の団交を行った。
 PIPへの反論と下ネタ発言の音声提出
 初回では音声記録がある事を伏せて団交に臨んだ。会社は最後までC氏の下ネタ発言の事実や人事部長の本件に対するフォロー不足があったことを認めず、逆に仕事能力不足を口実に私にはPIPを実施する必要があると一方的に主張してきた。
 この団交がきっかけで、私は会社に非を認めさせると決心し、次回の団交に向けての準備に着手した。まずはC氏の下ネタ発言の音声データの準備と、会社が主張するPIPの内容を精査した。改善計画というには程遠い過小要求事項ばかりだった。PIPの内容を追及する質問状を作成し、下ネタの音声データを添えて会社に提出した。会社は態度を変え始めた。
 会社からの回答書には下ネタ発言を認め謝罪の意を表された。またPIPを要求する合理的な説明がなかったので、その後も文書による追及を続けた後に、会社側が和解に向けての事務折衝の提案をしてきた。和解に異論はなかった。直後に、会社の代表弁護士が組合事務所に来て、事務折衝が行われた。和解の条件がまとまり、数日後に会社と正式に和解協議の調印を行い、和解をした。
 ハラスメント再発防止の為の社内研修を定期的に行うことを会社に約束させているが、一方で今も会社からのPIPに苦しめられ退職させられそうな同僚がいる。会社の経営層には今回の問題を真摯に受止め、同じ被害者をこれ以上生まないよう、再発防止に真剣に取組んでもらいたい。
 組合員N

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