プレカリアートユニオンブログ

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分断を乗り越え、社会を動かすための良書。『社会はこうやって変える! コミュニティ・オーガナイジング入門』(マシュー・ボルトン/法律文化社)

分断を乗り越え、社会を動かすための良書

『社会はこうやって変える! コミュニティ・オーガナイジング入門』(マシュー・ボルトン法律文化社

www.hou-bun.com

 本書は、イギリスのコミュニティ・オーガナイザー、マシュー・ボルドンさんによるコミュニティ・オーガナイジング(CO)の入門書です。COとは市民の力で社会を変える手段のことです。政府の政策変更を促す様々なキャンペーンを組織し、成功に導いてきた著者がどのような考え方に基づき、社会を動かしてきたのかを解説しています。
■社会はパワーによって動く
 「この本は現状に怒りを覚え、それに対して何かをしたと考えている人、社会システムに不満を抱いている人、国の行く末に不満を覚えている人のためのものである」と、本書は始まります。著者はCOの本質として、「もし、変化を望むならばパワーが必要だ」と記しています。
 パワー(力)と聞くと、中にはあまりいいイメージを持たない方もいるかもしれませんが、社会を動かしているのは様々なパワーです。市民が連帯してパワーを生み出し、問題を決定する権限(パワー)を持った対象を動かしていくことで世の中は動くのだといいます。
■COは労働運動とともにある
 実際に日本の職場を見ると、経営者と比べて労働者のほうが圧倒的に多数なのに、経営者のパワーは労働者をはるかに凌駕しています。この原因は、それぞれの関心や、細かい価値観の違いなど、様々な理由から、共通の利益を持つはずの労働者が分断されてしまっていることにあると思います。
 マシューボルドンさんの提唱するCOの手法は、このような様々な分断を乗り越え、みんなのパワーを集めることで社会に大きなうねり(ムーブメント)を起こし、よりよいものへと変えていくための手段です。
 みなさんも、先ほどの職場の例を想像してみてください。社長が会社に入ってきたとき、従業員全員が心をひとつにして団結し「給料を上げろ」と要求する。要求が通らなければパワー(労働力)を使い、ストライキで社長に譲歩を求める。実はCOの手法は常に労働運動と共にあります。社会不安の増大する今だからこそ、みんなで読みたい良書です。
 稲葉一良(書記長)

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