プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

手元に1冊、常備薬のように備えてほしい「死なない」ためのノウハウ。『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』(雨宮処凛著/光文社新書)

手元に1冊、常備薬のように備えてほしい「死なない」ためのノウハウ

死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』(雨宮処凛著/光文社新書

www.kobunsha.com


 コロナ渦に続く物価の高騰。日本中に貧困が急速に広がっているのを痛感する。「一億層中流」などと叫ばれた時代はもはや遠い昔である。現代社会は格差と貧困に満ちている。「死なないノウハウ」は雨宮処凛氏による文字通りそんな現代日本で何かあったときに死んでしまわないための様々なノウハウを記した1冊。著者は2006年から継続的に貧困問題に取り組み、版貧困ネットワークの世話人などを務める。
■様々な生活の困りごとを幅広くカバー
 まず初めに本書の目次を見て感じるのは守備範囲の広さだ。序章で著者自身の経験を語り、続く各章ではお金、仕事、親の介護、健康、トラブル。そして、最後には「死なない」というタイトルと一見矛盾するかに見える「死」について。この1冊を読むことで生活のあらゆる困りごとに対処する情報源にアクセスできる。
 まずは通読し、その後必要に応じて目次を引くことで素早く必要な知識を得ることができる。また、読み込んでいくことではじめはバラバラに見えていたそれぞれの問題の関係性や繋がり、背景を理解することができる。何が貧困をもたらし人を死に至らすのかという構造を理解することで「不意打ち」による転落を未然に防ぐことができる。
■第2章「仕事」ではPUの清水委員長が職場問題への対処法を語る
 第2章仕事についてでは、プレカリアートユニオン清水委員長が日々の労働相談や会社との交渉の現状や、職場でこういう目にあったらこういう対処ができる、この問題の解決に必要なのはこれなど具体的な対処法を解説する。
 特に「上司のパワハラで退職したが」という項はぜひ読んで欲しい。近年職場のパワーハラスメントが急増し、より深刻に、より巧妙になっている。この手の相談は実際に組合にも頻繁に寄せられる。ということは多くの労働者が被害を受けやすいということ。職場でパワハラを「受けた時点で」我慢せず労働組合に相談してほしい。
 その際に録音などの証拠が強い武器になる。また、退職をする前に1度休職も検討してほしい。労働組合は日々職場のハラスメント問題を解決し続けている。また、この問題に限らず、労働問題はとかく労基署や労働局に相談されがちだが、労災など一部の例外を除き、率直にほとんど解決の役には立たない。勇気を出して迷わずに労働組合に相談してほしい。
 タイトルに「死なない」ノウハウとあるが、大げさに捉えずぜひ気軽に取り寄せて手元置いてほしい1冊。ちょっとしたトラブルやアクシデントがきっかけとなって簡単に死を意識する状況に追い込まれうる時勢だ。「困ったとき、すぐに相談するっていってもどこに?」そんな悩みは本書を読むことでたちどころに解決する。そして最後にもう一度、労働問題で困ったら労基署や労働局ではなく迷わず労働組合に相談してほしい。

 稲葉一良(書記長)

 

【労働相談は】
誰でも1人から加入できる労働組合
プレカリアートユニオン
〒160-0004東京都新宿区四谷4-28-14パレ・ウルー5F
ユニオン運動センター内
TEL03-6273-0699 FAX03-4335-0971
メール info@precariat-union.or.jp
ウェブサイト https://www.precariat-union.or.jp/
ブログ https://precariatunion.hateblo.jp/
Facebook https://www.facebook.com/precariat.union
twitter https://twitter.com/precariatunion
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCAwL8-THt4i8NI5u0y-0FuA/videos
LINE労働相談 https://page.line.me/340sctrx?openQrModal=true