賃上げは望ましい未来実現するため
『きみのお金は誰のため ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」 』(田内学著/東洋経済新報社)
私たち労働組合の課題と関連付けるなら、「なぜ賃上げを求めるのか」について、ある見地からの答がこの本にはあります。
この本は、謎の投資家、彼に招かれた投資銀行勤務の女子、偶然その女子の道案内をしたことがきっかけで関わるようになった中学2年生男子の3人の対話を軸にして進行する小説として書かれています。
謎の投資家は二人に「お金の正体を理解する」ために3つの真実「一、お金自体には価値がない。二、お金で解決できる問題はない。三、みんなでお金を貯めても意味がない」を理解して欲しい。そうすれば「お金の奴隷から解放される」と言います。しかし、この3つの真実は、二人には理解できない謎であるというところから始まります。ミステリーの語り口で、読者を、お金に縛られず、「便利な道具」としてお金を使えるような見地に導いていきます。
さらに、「第4章 格差の謎「退治する悪党は存在しない」」では格差が生じる仕組みと格差の解消、「第5章 社会の謎「未来には贈与しかできない」」では財政赤字についての誤解を解きます。「最終章 最後の謎「ぼくたちはひとりじゃない」」では、「働く」とはお金を稼ぐことではない、という謎を解きます。そして、社会の内で「“ぼくたち”」を拡げること、それには「未来を共有すること」「人を愛すること」が大事、と締めくくります。
人々の労働の間にお金が介在する「交換」が社会を拡げ便利にし、人々に富を行き渡らせてきたが、介在するお金の動きの背景に、人々が労働によって助け合っている「贈与」が隠れて見えなくなっている。表に見えるお金の動きだけを見ていると、お金の奪い合いになり、個人としては合理的な行動であるけれども、全体としては不都合な状況を生む=「合成の誤謬」になる、と読み取りました。
冒頭の問「なぜ賃上げを求めるのか」へのこの本から得られる一つの答は、「望ましい未来を実現するための選択ができるようになるから」です。
野木 薫(副執行委員長)
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