プレカリアートユニオンブログ

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「給与第一」開発者、渡辺輝人弁護士による「残業代請求の基礎」講座開催 5月20日・オンラインで

 5月20日(金)19時から、京都第一法律事務所の渡辺輝人弁護士によるオンライン講座「残業代請求の基礎」がプレカリアートユニオンの組合員向けに開催されました。渡辺弁護士は残業代計算ソフトとして広く使われている「給与第一」の開発者としても知られる残業代請求のスペシャリストです。講義は「第1章 残業時間とその立証」、「第2章 残業代の計算」の2つの章立てで行われ、終了後に質疑応答の時間が設けられました。以下に講義の内容から特に重要と感じた労働時間・休憩時間に関して改めて解説します。

■「命じられていないから労働じゃない」は間違い
 普段なんとなく使っている言葉ですが、労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことを指します。指揮命令下に置かれているかどうかは労働契約、就業規則労働協約等の定めによって決まるのではなく、実際の状況を客観的に見て判断されます。業務に必要な準備時間も当然労働時間に含まれます。争いになりやすいのが、黙示の指示の問題であり、会社が終業時間前後の労働を「勝手にやった」、「命じていない」等とし賃金を支払わないという事例はよく見られますが、客観的に見て労働をしていれば賃金を支払わない理由にはなりません。このようなことを知ってか「残業をするな」と言葉でだけ命令するケースもあります。いわゆる残業禁止命令と呼ばれるものです。そのようなケースでも口で言うだけでなく、仕事を引き取るなど、実際に仕事をする必要がないような状況を会社が作らない限り労働が行われているならば賃金の支払いは免れません。

■「ご飯食べられたから」だけでは休憩にはならない
 残業代の未払いには労働時間の前後だけでなく休憩の未取得に対してその分の賃金が支払われていないという問題も含まれます。介護や施設警備などではこの休憩時間を巡る争いが主な争点になることも珍しくありません。休憩時間というとなんとくなく「休み時間」のような曖昧なイメージを持ちがちですが、実は単に仕事をしていない、休んでいるだけでは休憩時間にはなりません。「労働から完全に解放された状態」と評価されてはじめて休憩時間となります。これについては事務職が電話番をしながら昼食を取ったり談笑するなどしている時間が労働であると判断される事例などが代表的です。一見、休んでいても何かあればすぐに呼び出されてしまう、労働が発生してしまうような状態では労働から完全に解放されていると評価することはできず、休憩時間にはなりません。当然その時間に対しての賃金支払いを求めていくこととなります。

 渡辺弁護士の講義はしっかりと内容を掘り下げながらもとても分かりやすいものでした。講義後には、主に残業代等の未払いを闘う当該組合員を中心に様々な組合員から、自身の実際の労働環境に即した質問が活発に行われ、参加者全員で知識を深めていくことができました。

 稲葉一良(書記長)

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