プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

組合員紹介 SOGIハラに関する学習会を企画。演劇界のハラスメント解消に取り組む 森本ひかるさん

組合員紹介
SOGIハラに関する学習会を企画。演劇界のハラスメント解消に取り組む 森本ひかるさん


 プレカリアートユニオンの組合員のみなさま、はじめまして。先月組合に加入した、森本ひかると申します。アクタートレーナー・ファシリテーター(演技教師)、LGBT関連のライターや、性差別に関する啓発事業のコーディネーターをしています。
■演劇界でのハラスメントをきっかけに
 私が組合に加入したきっかけは、労働組合に加入することで労働問題という社会課題に取り組みたいと思ったのがきっかけでした。私は数年前から団体でまたは個人で、演劇界など日本の芸術文化界の労働問題に取り組んできました。というのも、私は演劇界でハラスメントを受けた当事者としてハラスメントなどの労働問題を解消したいという思いがあったからです。
 私が受けたハラスメントの話を少しだけしたいと思います。つらくなってしまうかもしれない方はこの下の段落を読み飛ばしてください。
  * * *
 私はもともと俳優として演劇界にいたのですが、その間4、5年ほどハラスメントを受け続けていました。セクハラ、パワハラ、SOGIハラ(性的指向性自認に関する侮蔑的な言動)、アカハラ……などあらゆるハラスメントを日常的に受け、一時は生きる希望も持てなくなりました。これらのハラスメントは他の業界にも存在するものだと思いますが、演劇など芸術文化は特殊な言葉を使って正当化されるという側面があります。それは「良い表現のためには必要だから」という言葉。ハラスメントの発生とセットで使われ、どんな人権侵害行為ですらもその罪から目をそらさせてしまう恐ろしい言葉です。この言葉を使われると、一件ハラッサー(ハラスメントをする人)が「良い表現」という崇高なもののために親切なことをハラッシー(ハラスメントを受ける人)にしてくれているように思わせます。しかし言葉の実は「良い表現者でいるためにはどんなことをされても従わなくてはいけない」という、ハラッシーにハラスメントを受け入れさせるための脅しです。私はこの脅しに何年間もからめとられていました。
  * * *
 しかし尊敬できる演劇人との出会いから、自分が受けてきたハラスメントをこの脅しに正当化されてはいけないと思えるようになりました。今はハラスメントを絶対になくしたい、そういう強い思いで活動しています。
■多様な性への差別的な思想を学ぼう
 みなさんのいらっしゃる業界には、演劇界のようにハラスメントを正当化させる言葉はないでしょうか。「良い表現」という言葉はなくても違うものに化けている可能性もありますよね。「自分たちの時代はもっとひどかった」「ここではこれが普通」「その気はなかった」だとか。こういうずるい言葉に日常的にセンサーを光らせておくことで、からめとられないようにしたいものです。
 私が今、組合のLGBT・ジェンダー平等チームで企画しているイベントがあります。それは組合内外に向けたSOGIハラに関しての勉強会です。SOGIハラは性のあり方問わず誰もが被害者になりうるものですが、今回はトランスジェンダーという性のあり方にフォーカスする勉強会を開催しようと思います(今後トランスジェンダー以外のあり方にもフォーカスする勉強会も必要だと思っています)。
 SOGIハラもずるい言葉がよく使われてしまうハラスメントです。SOGIハラの例を聞いたとき自分が過去にしてしまったSOGIハラを思い出して「そんな気はなかった」と思ったことはないでしょうか。たとえば、自分の主観から相手の性別を勝手に推測して間違っていたとき(ミスジェンダリング)、だれかの性のあり方をなんとなく変なものだとして笑い話として話してしまったとき。勉強会では、この「そんな気はなかった」の裏側で無意識にもってしまっている多様な性への差別的な思想についてレクチャーをします。また当日の登壇者には、先日SOGIハラに対する労災認定を勝ち取った組合員にもお話しいただき、トランスジェンダー当事者の方に向けても労災認定の具体的なイメージを持っていただけるのではないかと思います。みなさまぜひお誘いあわせの上お越しください。
 森本ひかる(組合員)

 

SOGIハラ学習会+トーク
SOGIハラは労働問題 トランスジェンダーにフォーカスして

なぜSOGIハラは起きるのか
起きたらどうすればいいのか

会場:zoomによる開催[3月25日のみ新宿三丁目近郊での現地開催(定員30名)もあり]
日程:2023年1月14日(土)16時から18時、2月11日(土)16時から18時、3月25日(土)13時から16時
プレカリアートユニオン組合員は、1月14日、2月11日については、組合事務所から参加できます。組合員以外の方は、3月25日のみ会場でも参加いただけます。★
参加費:無料[事前申し込みが必要です]
申込・詳細:https://forms.gle/tBjYMg6wStfDXuLz8
講師:森本ひかる(組合員・演技指導者・アクティビスト・ライター)
ゲスト:SOGIハラにより休職し団体交渉を経て復職を実現したトランス女性の組合員、浅沼智也(組合員・看護師・映画監督)
対象:トランスジェンダーに対するSOGIハラに関して、SOGIハラの労災認定に関して学びたい方どなたでも
主催・問い合わせ:プレカリアートユニオン


SOGIハラスメント】(SOGIハラ)はご存じでしょうか。
SOGIハラとは【性的指向】と【性自認】という、誰もが何らかの形で持つ要素(注1)に対し行われる侮蔑的な言動です。事業者にはパワハラ防止法によりSOGIハラの防止義務が課されており、 2022年に、プレカリアートユニオン(プレカリ)組合員がSOGIハラの労災認定を勝ち取りました。プレカリによる本勉強会では、SOGIハラという労働問題に対して、現在主流になっている「SOGIハラとは何か」からもう一歩突っ込んだ内容をお届けします。

内容は
<講座>「なぜSOGIハラは起きるのか」に関する、個人が無意識に持つ差別的な思想・社会構造
<スピーカーとのトーク>  「SOGIハラが起きたらどうすればいいのか」に関し、実際に労災認定を勝ち取った組合員や関係者の経験談

労災認定を勝ち取ったこともあり、本勉強会は<トランスジェンダーに対して発生するSOGIハラにフォーカス>した内容とします(注2)。
本勉強会に参加して、トランスジェンダーに対するSOGIハラへの一歩深い理解を手に入れてみませんか?
SOGIハラに困っている・発生を心配している当事者の方も参加大歓迎です。労災認定の経緯を知って、(もしもが無いことを望んでいますが)もしもの場合に備えましょう。
(開催後、当団体ブログや機関誌で講座の概要を公開する予定もございます)。

注釈
(注1)性的な指向が誰にも向かない無い方や、特定のジェンダーを自認しない方々もいます。
(注2)冒頭に述べたように、SOGIハラは性のあり方問わず誰にでも起こりうり、誰に起こっても重大な労働問題です。ですが今回は、トランスジェンダーへのSOGIハラに対する深い理解を得ることを目的にトランスジェンダーのみにフォーカスする内容にしています。


【労働相談は】
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