【組合員の手記/組合員紹介･解決報告】千葉県の社会福祉法人でパワハラきっかけに加入仲間を増やしつつ就労環境を改善中のＩさん

組合員紹介
千葉県の社会福祉法人でパワハラきっかけに加入
仲間を増やしつつ就労環境を改善中のＩさん

　私は、千葉県にある社会福祉法人に勤務する介護士です。勤務する法人の利用者は、重度の身体障害者の方で、歩くことや食事をしたりすることができません。また、知的にも障害を持っているので、会話もできない人が多いです。
　３０年前に福祉未経験で就職した頃は、利用者と関わるのが楽しい職場だと思っていました。が、今振り返ると、理念はない。職員は少ない。休憩時間はない。タイムカードはない。異様にサービス残業はある。余裕がないので人間関係がギスギスしている。というようなブラック法人でした。ブラックというより「ゆるーいブラック法人」で頑張っても頑張らなくても給料は同じなのでダラダラしている職場でした。職場環境が悪いので、やめる人が多かったのですが、せっかく働くのだから「職員にとっても利用者にとっても良い施設」にいう思いで仕事に励んでいました。

■公益通報の一方でパワハラによる休職
　５年目に２つ目の施設、１５年目に３つ目の施設の立ち上げの現場の責任者として、１８年目には最初に勤務した施設の管理者として異動しました。
　管理者となってからは、職員の仕事がしやすくなるように、今までのやり方を変えていくようにしていました。（少しでも休憩が取れるようにしたり、残業しない日を設けたりなど）そのような時に、同期の管理者が居宅事業所で行われていた不正請求等のことから体調を崩し、休職することとなりました。この状況を何とかしなければと思い、理事長（当時の事務局長）とやりあいました。そのことがきっかけでパワハラが始まりました。
　この不正請求の問題は、法人の闇の１つに（２つ目の施設の時は水増し請求、３つ目の施設の開所時は不正申告等）過ぎないと思い、公益通報制度で告発しました。公になりましたが、理事長が責任をとって辞めるということにはなりませんでした。
　その後にも、事務員が不正に資格を取得していたので、同様に通報しましたが、処分されることはありませんでした。そうしている間にパワハラがひどくなり、また気力もなくなり休職することとなりました。

■組合加入し復職と未払い賃金の支払いを実現
　そして理事長からの復職妨害で困っていた時に組合の存在を知り、現在に至っています。一昨年８月からの団体交渉の成果としては、
・復職。
・パワハラの謝罪と再発防止策の策定。
・未払い賃金（休憩時間がなかったことと管理監督者として残業代が払われていなかった。）の存在を認めさせた。
・労働法を守った労務管理を行うこと。
　この団交で、個人（パワハラ）と法人（未払い賃金等）の問題を提起したことで、法人は労務管理について見直さざると得なくなりました。
　新年度になると、働き方改革ということで、今までの働き方（主に休憩と残業について）の見直しがはじまりました。時を同じくして、２名の職員が組合に加入したので次の団交となりました。

■職員にとっても利用者にとっても良い施設に
　昨年の５月からの団交の成果としては、
・復職後の仕事が無い状況をやめさせ、通常の勤務。
・パワハラの再発防止策の策定。（後日、理事長の不適切な事例がありましたが、ある職員からの外部機関への訴えがあり適切に処理されました。）
・未払い賃金の請求。
・コロナに関連する特別休暇や抗原検査キットの購入費用の法人負担。
・インフルエンザ接種費用の法人の補助。
　現在も引き続き、
・資格試験の不正受験について
　も文書での回答を求めています。
　２名の加入者と共に団体交渉をすることで、労務管理の不適切な実態や不正の問題をあらためて明らかにすることができました。交渉で実現した成果は、職員に一律に適用されるので、多くの職員に加入してもらえれば様々な要求実現を進める大きな力となるということも確信しました。
　そして同時に、仲間づくりの難しさも実感しています。組合の話をしても理事長との関係を考えると加入に躊躇することが多いからです。それでも、職場は問題を抱えているので、最初の頃に思った「職員にとっても利用者にとっても良い施設」になるよう頑張っていきたいと考えています。
　Ｉ（組合員）