弁護士だけでなく、労働者の権利を考える全ての人にまず読んで欲しい1冊
『明日、相談を受けても大丈夫! 労働事件の基本と実務』(旬報法律事務所著/日本加除出版)
www.kajo.co.jp 全ての弁護士が労働法に明るく、十分な知識を持って労働者の弁護や権利を守るための交渉ができるわけではない。『明日、相談を受けても大丈夫!労働事件の基本と実務~紛争類型別手続と事件処理の流れ、書式~』は、私たちプレカリアートユニオンをはじめ多くの労働組合、労働者と連携・連帯し様々な労働事件を闘い労働者の権利を打ち立ててきた労働問題のエキスパートを多く擁する旬報法律事務所による1冊。
この本は労働事件を初めて担当する弁護士を対象としてはいるが、わかりやすい文体で記されており、組合専従者、社会保険労務士などの他士業、職場で自身に起こる不合理と闘う労働者にも、自信を持ってお勧めできる。労働者の権利をどのように主張しどのような対応をしていけば良いのか、ケース毎に丁寧に具体的に解説している。
■労働組合との連携で困難な局面を打開できることを明記
本書の1番の特徴は、労働組合との連携を戦略的に捉え、裁判や弁護士同士の折衝だけでなく、使用者に誠実応諾義務の課せられた団体交渉をどのように労使紛争全体のなかに位置づけるかを記している点ではないだろうか。
弁護士の記した書籍でこれを明記するものは意外にも少ない。さらに、裁判に馴染まないような場合でも、労働組合ならば問題を解決できることがあるということについてもしっかりと言及しており、労働事件において労働弁護士と労働組合との連携が非常に大きな力を持つことを解説している。
■ハラスメントの対応を丁寧に解説
単に法律知識だけに留まらず、例えば「第7章ハラスメントに関する相談への対処」では、相談に乗るときに2次加害を起こさないためにどのようなことに気をつければ良いかということや、性被害に遭った際の被害者の心理状況、法廷において被害者の心の傷に配慮し遮蔽などを用いることができるということにも言及し、単に法的な権利に留まらず、労働者をどのように守るかを記している。
実際に労働組合で相談に対応していても、特にハラスメントの被害者は深く傷ついていることがほとんどで、相手との闘いの困難さより、どのように当該労働者を勇気づけ励ましていくかが重要になるケースが多い。
冒頭でも記したとおりだが、弁護士向けに書かれた1冊ではあるものの、誰にでも読みやすく比較的コンパクトなサイズで労働問題に対応するノウハウがしっかりと詰め込まれている。労働問題で分からないことがあるとき、確認したいときなど手元に置いて辞書的に引くような使い方もお勧めできる。また、巻末の「関連書式」はケース毎の具体的な文例も載っており、対応を知り同文書を作ればいいのかがすぐに分かるためとても使い勝手がいい。労働者の権利について考える全ての人に手に取ってほしい1冊だ。
稲葉一良(書記長)
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