プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

札幌で第34回コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク全国交流集会開催。声を上げ広がるためにつながって大きな運動に

 10月15日、16日、北海道札幌市内の北海道自治労会館で、第34回コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク全国交流集会in札幌が開催され、全国各地から250人の仲間が参加しました。
 1日目の全体集会では、来賓の日本労働弁護団の棗一郎弁護士が、「解雇の金銭解消制度の導入や改憲がもくろまれている。時代の大波に対抗できるのはユニオン運動しかない」、参議院議員社民党党首の福島みずほさんが、日本で人権に関わる施策を阻んできたのは、統一教会とつながる政治家の影響、と指摘し、この集会のテーマ「しる・おこる・こえあげる・つながる・ひろがる・かわる」に触れて、「ユニオンの皆さんたちと現場で、世界で希望を作っていきたい。一緒に連携して頑張っていきましょう」と挨拶。
 特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)の鳥井一平さんが、「一昨年の入管法改悪が廃案になった。国会前で座り込みをしようと提案して、国会前に行ったら先に、労働組合の仲間がいた。日に日に参加者が増えて、SNSでの反対の声が集まり、廃案へと追い込むことができ、外国人技能実習見直しも叫ばれるようになった」と発言、非正規滞在者、外国人労働者、移民労働者、誰一人取り残されることがない社会を目指してともに頑張りましょう、と挨拶しました。
花畑牧場ベトナム人スト報復事件の解決に喝采
 特別報告の一つは、札幌地域労組からの花畑牧場ベトナム人スト報告事件でした。同社では、ベトナム人労働者135人が働いていて寮の光熱費を固定7000円で契約していたところ、昨年の2021年10月、会社が一方的に実費精算に切り替えてしまいました。負担額は値上げされ、労働者が、繰り返し抗議したにもかかわらず、社長は無視。今年2022年1月25日の給料日には光熱費実費額が約15000円となったことが発覚し、ベトナム人労働者40人が1月26日に実質的にストライキを決行、工場1つが停止しました。会社は、光熱費を固定7000円に戻し、2021年10月以降に7000円以上徴収した分も遡及して払い戻しをし、要求が勝ち取られました。
 ところが、話はここで終わらず、会社側は、ストに参加した労働者を雇止めや懲戒処分をしたり、リーダー格の4人に1人50万円、総計200万円の損害賠償請求を行うという報復事件が起きてしまいます。当該労働者が札幌地域労組とユニオンとかちに加入し、団体交渉を行ったところ、会社がベトナム人労働者をストライキの報復で刑事告訴(!)。その後、労働者が毅然と交渉して会社の入管対策の二重の雇用契約が発覚するなどし、和解にいたりました。会社は謝罪し、損害賠償請求の撤回、刑事告訴の取り下げ、組合員に対する生活保障も行われました。当該組合員のスピーチに大きな拍手がおくられました。労働組合加入前でしたが、「ストライキは人類普遍の権利」という表明があったのが印象的でした。
 特別講演として「先祖のように自由にサケを獲りたい」をテーマに、弁護士で、アイヌサケ捕獲権確認訴訟弁護団長の市川守弘さんによる特別講演も行われました。
 昨年の開催地である静岡実行委員会から、予想より参加者が多かったために予算に余裕ができたとして、旗が寄贈されました。
■つながって大きな運動を作っていこう
 2日目の16日は、「精神障害の労災認定」、「ハラスメント相談対応」、「女性と労働」、「労働委員会の活用と課題」、「道警ヤジ排除事件-一審完全勝訴!ヤジで排除は違憲違法」など、全て興味深い10分科会に分かれて、報告と意見交換を行いました。私は、第3分科会の「労働組合におけるインターネット活用」に参加。プレカリアートユニオンは、インターネット、SNSを活用して活動していますが、まだまだまだま工夫の余地があることを実感。分科会直後、報告を担当していた連合福岡ユニオンの新藤さんに、私たちの取り組みを向上させるため、個別にアドバイスをいただけるよう、お願いをしました。こんなことができるのも、全国交流集会でリアルに仲間が一堂に会することのよさです。
 締めくくりの全体集会では、エリアごとに仲間たちが壇上に上がり、参加ユニオンの紹介が行われました。北海道以外で参加者が多かったのは、なんと九州からの参加者でした。次回開催地の連合熊本ユニオンの皆さんが6人、連合福岡ユニオンの皆さんが4人、全国一般労働組合福岡地方本部の皆さんは15人参加されました。
 組合員以外にも、長年日本のユニオンの研究をされている呉学殊さん(労働政策研究・研修機構統括研究員)から、「日本で賃金が上がらないのは労働組合ストライキを構えて闘わないから」という直球の叱咤激励をいただき(詳しくは、呉さんの論文をご覧ください→

http://spk-chiku-union.jp/archives/7765

)、コミュニティ・ユニオン全国ネットワークの顧問で弁護士の中野麻美さんからも、中野さん自身がユニオンの闘いに力を力をもらっていることが語られ、労働者が社会の主人公であるという矜持を持ってほしいという主旨の身が引き締まるスピーチがありました。
 大会のまとめとして、共同代表で名古屋ふれあいユニオン運営委員長の鶴丸周一郎さんが、市川守弘弁護士からのアイヌサケ捕獲権確認訴訟についての報告に触れ、「ここ北海道では先住民族であるアイヌの方々が生活の地を侵され先住の生活様式を侵害されてきた歴史がある。犯してきたのは政府、権力、開拓者、侵略者……日本人。アイヌの方々が本来当たり前に行ってきたサケ漁が一方的に決められたルールで制限されてきた。先住権は憲法以前から認められてきた固有の権利、労働者が団結して資本家と対峙する当然の権利と同じである、という言葉があった。これは、札幌地域労組からの花畑牧場ベトナム人ストライキの報告で表明された、ストライキは人類普遍の権利、と通じるものだった」、「声を上げて、広がるためには、つながることが重要だ。職場でもこの会場でも同じ。みんなで大きな運動を作っていきましょう。来年は熊本で笑顔で再会しましょう」と締めくくりました。
 私は、終了後に同じ会場で開催された女性交流集会にも参加し、女性労働者が職場や家庭や社会で差別され、不平等に扱われる問題を解決していく、という大きな問題をいかに各ユニオンの組織の課題として、我がこととして取り組めるか、を参加した皆さんと考えました。プレカリアートユニオンの場合は、LGBTQ+労働相談に積極的に取り組んでいることもあり、女性を含む、あらゆる性別、セクシュアリティの労働者が安心して働ける職場にするということが、組織の課題です。引き続き女性交流会に参加していきます。
 集会を準備してくださった札幌の皆さん、有り難うございました。熊本の皆さん、来年はよろしくお願いいたします。
 清水直子(執行委員長)

 

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