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カミングアウトされたら何をしてよくて何をしたらダメ、ちゃんと答えられますか?『先生と親のためのLGBTガイド』(遠藤まめた著/合同出版)

カミングアウトされたら何をしてよくて何をしたらダメ、ちゃんと答えられますか?

『先生と親のためのLGBTガイド』(遠藤まめた著/合同出版)

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 両親や学校の先生が生徒に及ぼす影響はとても大きい。LGBTについて正しい知識を持ち、どのように問題を捉えればいいかを学ばなければ思わぬ時、思わぬ場所で子供を深く傷つけてしまう可能性もある。
 今回紹介する『先生と親のためのLGBTガイド~もしあなたがカミングアウトされたなら~』は、トランスジェンダー当事者として長年より子ども・若者を中心としたLGBT(セクシャリティ)支援に関わってきた遠藤まめた氏が著者。当事者の声を多く紹介し様々な生活の場面での、当事者の想いや保護者、教師として取るべき対応についてが書かれた1冊だ。
■家庭・学校での偏見が当事者を大きく苦しめている
 この本の対象は「先生と親」である。友達にはカミングアウトしたけれど親にだけは絶対に言えないという当事者は決して少なくなく、また、自分の性自認性的指向をどのように学校や親に打ち明けるかについて悩むLGBTの生徒が多いことを本書は伝える。
 子ども(生徒)がカミングアウトをしたとき先生や親がステレオタイプな偏見に基づく誤った認識で接してしまったならば、どれだけ本人を深く傷つけてしまうかは想像に難くない。子どもは家庭や学校などで社会を知り常識を形成していく。家庭と学校で正しい知識に基づく理解が得られ安全が保障されることは、子供の生きづらさを軽減するという意味でとても重要なことではないか。本書を読むことで当事者の気持ちと取るべき対応を具体的に知ることができる。
■知らず知らずのうちに規範を押しつけてはいないか
 本書で「『性の自然』は人それぞれ」であることを丁寧に解説している点に注目したい。未だに、世の中には「男と女」の両性しか存在せず、恋愛は異性間というジェンダー規範は氾濫している。差別をするつもりで、傷つけるつもりで接する親や教師はいないが、偏見を持たないという気持ちだけで差別はなくならない。
 自身が正しい知識を学ぶことで常識をアップデートしてはじめて差別に克己することができる。疑いなく常識を振りかざすことが非常に危険であることは本書を一読すればよく分かると思う。男らしく、女らしくという言葉の危うさも実感できると思う。
 本書は先生と親のためのと銘打っているものの、一般的なLGBTに関する知識を学ぶはじめの1冊としても非常に有用だ。差別をなくすにはまず学ぶこと。とても読みやすく、当事者の声を多く伝える本書をぜひ手に取ってみることをお勧めしたい。
 稲葉一良(書記長)



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