学校法人大西学園による兵糧攻め、住まい取り上げと闘う用務員が原告となる、大西学園に対する未払い賃金請求訴訟の第1回目の期日で、組合員M.O.さんが意見陳述を行いました。当日は、傍聴券が配布され、傍聴席はほぼ埋まり、組合員が傍聴支援を行い、新聞記者にも取材していただきました。首都圏ネットに参加する友誼組合の仲間も傍聴してくださいました。
意見陳述書
2025(令和7)年5月26日
M.O.
2024年11月の採用より、約10年半、学校法人大西学園の住み込み用務員として働いております。現在も在籍しておりますが、3月14日に、9月1日までの労働日換算で120日の長期に渡る停職処分を命じられています。
10年以上も働いていてなぜ今、最低賃金違反を主張し出したのか?と思われるかもしれません。実は、最低賃金を下回っていることに気づいたきっかけは昨年行われた「定額減税」でした。ある日、川崎市より「調整給付金」のお知らせのハガキが来ました。「調整給付金」とは、1年を通して減税し切れない見込みの人に来るものと知りました。つまり、それほど所得税を払ってない、収入が低いということであるとそれで気づき、当時の月給を時間換算してみました。その結果、時給948円となり、当時の最低賃金全国ワースト1の県よりも低い時給額で愕然としました。
まさか学校法人として歴史ある大西学園が、最低賃金法違反という法律違反をしているなどとは微塵も考えていませんでした。そこから初めて労働法について調べてみると、この他にも、採用時に雇用契約書や労働条件通知書を労働者に対して明示していないという違反、三六協定が結ばれていないのに労働者に残業や休日出勤をさせ、さらにはその労働に対して今まで一度も残業代を支払っていないという違反。就業規則を採用時、また変更するたびに労働者に周知閲覧させることもなく、備えつけてもいないという違反。私の知る範囲内でもこれだけ労働基準監督署から是正勧告されるような違反を数々犯しているということがわかりました。これは、大西学園の労務管理がいかにずさんか、大西学園がいかに労働者を軽視しているかを物語っています。
さらに、出勤簿には正しい出退勤時間は書かせていません。いくら帰りが遅くなっても、みなさん18時以降の退勤時間を書いたことはありません。いわゆるブラック企業と言われる悪質な法人が、タイムカードを強制的に定時退勤時間に打刻させているのと何ら変わりありません。出勤簿や給与明細には、出勤日数はもちろん、月間の累計勤務時間、残業時間、有給取得日数や残日数の記載はありません。どれだけ働き、どれだけの給与がもらえるのか、大西学園は過去から今までずっと長い間、労務管理や残業代を支払うという概念がなかったのでしょう。
そこで私は、昨年8月6日、学校法人の理事長に対して直接面談を求め、最低賃金割れを示した計算や根拠となる法律が書かれたページのコピーなど12枚に渡る資料を用意し、理事長や事務責任者と三度面談を試みました。しかし、いずれも、「支払うものは一切ない」との回答で、これには唖然としました。
そして、ここで大西学園から1回目の嘘をつかれました。
私が求人票の8時間というのが契約した労働時間であると主張するも、法人側は6.5時間と主張してきました。この主張の違いは今後の争点にもなると思います。昨年9月4日に行われた2回目の面談時に、事務総務主任より「用務員は6.5時間の【断続的労働】で労働局には回答している」と言われましたが、10年近く働いてきて、【断続的労働】という言葉はそこで初めて聞きました。もちろんそんな契約をした覚えはありません。実際に面談時に理事長、事務総務主任双方に【断続的労働】の適用要件を尋ねましたが、「わからない」と回答されました。私が推測するに、当時の社労士かだれかに【断続的労働】を進言されたと見られます。3回目の面談の10月11日には、10月1日付けの労働条件通知書を渡され、そこにも【断続的労働】と記載されていました。ちなみに、採用から今まで労働条件通知書が交付されたのはこれが最初で最後です。
三度の面談と【断続的労働】という説明に納得いかなかった私は、労働組合であるプレカリアートユニオンに加入し、団体交渉による解決を望みました。
団体交渉の場で【断続的労働】に関する労基署への許可申請書類等を求めると、申請すら出しておらず、大西学園は、事務総務主任による「勘違い」と主張を一転してきました。【断続的労働】が何かも知らない人間が、労働条件通知書にまで記載し、事態が不利になったら「勘違い」という軽い言葉で逃げようとする、これは、労働者を不利益な条件下で働かせるようとする行為であり、嘘、不正と言わざるを得ません。
また、大西学園による嘘は続きます。昨年11月27日の第1回団体交渉にて最低賃金の差額をまずは支払い、未払い残業代や今後の労働条件等はお互いの話し合いで解決するという約束がされたにも関わらず、最低賃金差額の計算期日の前日に代理人弁護士が辞任し、新たな代理人に変わると主張を一転させ、再び最低賃金は守っているという主張を始めたのです。
12月23日、2月12日と団体交渉するも平行線をたどり、第4回目が予定されていた交渉日の3月11日の前日夜に、代理人弁護士の変更と、補佐人として社労士が就任する、また団体交渉を拒否するという通知が来ました。ここから一気に、私達用務員に対する人権侵害にあたる嫌がらせや、不当な懲戒処分などが始まりました。
3月14日には労働日換算で120日、約半年となる停職処分を受け、その日のうちに住み込みの用務員室の退去を求められました。突然のことで混乱してしまい、居室のカギなど所有していたカギを全て渡したものの、解雇ではなく、在籍してるのでまだ居住権があるのがわかり、渡したカギの返還を要求しましたが、停職中を理由に現在も取り上げられたままです。さらには、用務員室のカギを変えて追い出すと、大西学園の補佐人である顧問社労士が自らカギの交換を指南したと名言しており、現在も、いつカギを変えられ、いつ追い出されるかと不安な日が続き、夜も眠れず、精神的に疲弊しております。
また、嫌がらせは生命を脅かすほどのレベルにエスカレートし、4月1日に用務員室のドアに「防犯上の観点から、水道・ガス・電気を止めます」と貼り紙がされ、1日にガス、2日に水道、3日には電気が止まり、警察や消防に被害申告し、4月4日に厚労省での記者会見での抗議、最終的には私の代理人弁護士から相手側代理人への抗議により、4月7日に解除されるまでの1週間、ライフラインを遮断するという人権侵害まで行われました。
私は決して大西学園を攻撃しようとか、潰しにかかろうなどという考えは一切ありません。ただ、あと3年で100周年を迎える大西学園がこのままではもたない、どんどん職員や子供達が離れていく姿を目の当たりにして、学園崩壊の危機感から問題提起したのが発端です。
そして、今回の紛争の本筋は、この訴訟で問題となっている賃金の未払いです。逆に言えば、この間の騒動となっている原因を作っているのは大西学園の方です。私たちは労働基準法上認められている当然の権利を行使しているだけで、解決に向かっていきたいという思いがありますが、大西学園は、団体交渉を拒否し、話し合いの場を断ち、解決とは程遠くなるやり方を続けています。
一刻も早い解決と、用務員として今まで通り、子供達の成長を見守りながら仕事が出来るような環境整備と職場復帰を求めます。
そして、この間の大西学園との紛争において、私には許せないことがふたつあります。
ひとつは、昨年8月に理事長に問題提起してから、今日の今まで、何ひとつ謝罪がないことです。未払い賃金についてはお互いの主張もあり、そこは司法の場で争うのは理解しているものの、そもそもの発端が大西学園側の契約時の不手際によるものであり、大西学園側もそこは認めています。そうであるならば、せめてそこは謝罪すべきではないでしょうか。
また、ライフラインの1週間の遮断に関しては新聞やネットニュースにも取り上げられ、やりすぎであったことは明白であるにもかかわらず、大西学園側から直接の謝罪はありません。そのことにも強い憤りを感じます。
もうひとつは、私事になりますが、この訴訟を提起する前日の3月23日、母が亡くなりました。83歳でした。だいぶ前から認知症が進み、要介護度はすでに5になっており、私を息子だと認識できなくなる日がいずれ来るかもしれないと思い、最後の親孝行のつもりで母に「どこか行きたい?何かしたい事ある?」と聞いたら、「温泉に行って美味いものが食べたい」と母が言いました。
昨年11月の1回目の団体交渉後、最低賃金との差額を支払う約束がされていたので、私は母に「じゃあ、正月にね」と言ったら喜んでいました。しかし、それが私が見た母の最期の姿になってしまいました。支払いの約束を大西学園に反故され、結果、私が母にした約束も破る形になってしまったのです。嘘が一番嫌いだった母でした。嘘をついた大西学園に結果的に私が嘘つきにされてしまいました。絶対に許すことは出来ません。
昨年末に転倒した時に腕を骨折し、治らないまま亡くなった母。火葬後に骨を拾う時には、ただただ申し訳ない気持ちで一杯でした。せめてもう少し収入があれば、もっといい医療を受けさせてあげることができたかもしれない。もう少し収入があれば、もっと仕送りができて、あの時より設備の整った施設で暮らすこともできたのに、と未だに後悔する日が続いています。
最後になりますが、今回の紛争は、学校法人大西学園による労務管理のずさんさが原因となって起きたものです。大西学園が適正に法律を守ってさえいれば防げたものです。
採用時から、朝7時から18時まで11時間拘束されてきましたが、長時間拘束されているにもかかわらず、手取り額ベースで川崎市の単身者の生活保護費とも1万円も違わない低賃金なのです。
私は法外な金銭を要求している訳ではありません。最低賃金ベースでいいので、働いた分はしっかり払ってほしい。時間外や休日に自分の生活時間を犠牲にして働いた分とも言える残業代はきっちり払ってほしい、ただそれだけなのです。
残念ながら法律上、時効というものがあり、全ての期間分を払ってもらうことは叶わないものの、せめて支払い義務のある期間分は、大西学園も自らの労務管理の非を認め、法律に則って支払うよう、司法の場でしっかりと公平公正なご判断をいただきますよう、改めてお願いいたしまして、私の意見陳述とさせていただきます。ありがとうございました。
以上
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