【解決報告&組合員の手記】
70歳を迎えた警備員のNさん
25年春闘で日当500円減額を廃止させ
全社的な賃金改善を実現
私は警備会社に勤務する警備員で、現場に立ち続けて19年になります。今年8月で70歳を迎えました。契約は6か月ごとの更新となる有期雇用、日給制。基本給と手当を合わせた額が1勤務ごとに計算されます。
■70歳、現場の声を団交で形に
この職場には、「70歳以上になったら、日給の基本給から500円を減額する」という労働条件がありました。週5日勤務すると、1週間で2500円、1ヶ月で1万円以上、同じように週5日働く70歳未満の人と差がついてしまいます。
すでに70歳を超えた同僚からも「納得がいかない」といった声が上がっていました。
■なぜ減額されるのか?
理由として考えられるのは、在職老齢年金制度への対応です。
在職老齢年金制度は、老齢年金を受給している高齢者が、働いて賃金を得ている場合、年金と賃金を合わせた額が一定の額(支給停止基準額)を超えると、老齢年金の報酬比例部分が減額される仕組みです。年金財政を維持するためという合理性がありますが、高齢者にとっては、年金が減額されることが働かない理由になります。会社としては、賃金を少し下げる=時給単価を少し下げることにより、その分労働時間を長くする、という対応を考えました。
しかし、現在では、70歳以上でも健康で働ける人が増え、年金だけでは生活水準が低下してしまう現実があり、70歳以上でも働きたい人が増えています。社会も「高齢者の労働参加」を求めています。
在職老齢年金制度でも、支給停止基準額が引き上げられ、現行制度では、70歳以上の場合、年金と賃金を合わせた額が月額約50万円を超えると、超えた分の半額だけ老齢年金の報酬比例部分が減額されるという制度になっています。
そんな高収入の70歳は、少なくとも私の周囲の警備員の中には存在しません。
それでも「70歳以上は一律に500円減額」という決まりが残っていました。
■春闘で団体交渉を申入れ
私は今年3月、春闘の時期に組合を通して会社に団交を申入れました。その要求事項の一つが、この「70歳以上減額規定」の廃止でした。
会社に制度の目的を尋ねると、やはり年金制度への対応との回答。そこで「現行制度とはそぐわないのだから廃止してほしい」と要求しました。回答は「検討します」。
そして8月、会社から「70歳以上の者に対する500円減額を廃止する」との知らせが届きました。給与明細を確認すると、確かに減額はなくなっていました。現場で同僚にも確認したところ、全員が同じ状況に。
会社は公表を避けたようですが、実質的に全社で改善が行われたのです。
静かな形ではありましたが、確実な成果です。
■現場から始める組合活動
ここ数年、社会全体でも賃上げの動きが広がり、企業も「人手不足対策」として賃金改善を容認してきています。
いまは、現場の声を会社に届け、実際に変えていくチャンスの時期です。
確かに、会社組織の中で、一人の従業員の声は小さいものです。
しかし、労働組合という場を通じて会社と話し合えば、道は開けます。
組合員一人ひとりが、自分の職場の現状に目を向け、声を届けること。
それが次の改善につながる第一歩です。
N(組合員)
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