プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

飢えと貧困との闘い。寿町越冬闘争に参加して

 役所が休みになる2019年12月28日から2020年1月5日に掛けて、寿町で「越冬闘争」が行われました。「ひとりも野垂れ死にさせない」をテーマに、炊き出しや医療・労働・法律などの各種相談、夜のパトロールのボランティア、さらには昨年夏から事態が急転した横浜へのカジノ誘致に対する反対運動や市長のリコールの呼びかけなど、厳しい寒さのなか、熱気に満ちた闘争が繰り広げられました。わたしたちプレカリアートユニオンも、30日に参加し、炊き出しや労働相談、夜のパトロールに協力してきました。

飢えと貧困との闘い
 餓死の問題はもはや他人事ではありません。ここ10年間、物価や消費税は大きく引き上げられましたが、賃金は頭打ち、ますます生活者にとって厳しい世の中になってきています。寿越冬闘争は、寿日雇労働者組合や寿支援者交流会など7団体による実行委員会が主催し、今回で46回目を迎えました。年末年始に、寒さで、飢えで死んでしまう人が出ないようにというテーマで毎年開催されている、飢えと貧困との闘いです。

心も身体も温める炊き出し
 炊き出しの光景は圧巻でした。食べられない人が出ないようにと、大量に用意された食材が、ボランティアの手によって次々と食べやすい大きさに切りそろえられます。その日の献立は雑炊とフライでしたが、大きな寸胴にグツグツと煮え立った雑炊は見ているだけで心を温めてくれました。食べる直前に雑炊の上には鮭とホタテのフライが添えられます。炊き出しを待つ人々に向けて、地元の高校の合唱部の卒業生有志が、大きく美しいハーモニーの合唱を披露します。「毎年来てくれるのを楽しみに待っている。学生さんがそのうち子どもも連れて、立派なお父さんお母さんになって」。地元の人が目を細めて話してくれたのが印象的でした。炊き出しの余りを味見させていただいたのですが、しっかりした味付けと、肉や根菜がたっぷりで体の芯から温まる雑炊でした。

労働相談や法律相談、医療相談も
 当日は雨が降ったり止んだりと天気が崩れがちだったせいか、相談ブースは全体的に閑散としていました。そんななかでも医療相談ブースの血圧測定コーナーにはポツポツと人が訪れ、測定を受けながら、健康の悩みについて相談していました。

カジノは百害あって一利なし
 テントでは「ことぶき診療所」の越智先生による、カジノについての勉強会も行われていました。IRの名を借りたカジノが住民に与える影響と、ギャンブル依存症に罹ってしまう仕組みやその恐ろしさ、導入に対する様々な政治的思惑を解説し、「カジノは百害あって一利なし」と強く訴えかけました。また、この夏にマニフェストを破りカジノ誘致を急遽表明した小林市長に対して、リコールの署名運動や協力の呼びかけも行われました

「あなたのことを心配している人がいる」
 集約会議を挟んで、21時に再び集まったボランティアは夜のパトロールに出かけます。野宿をしている方の所を周り、使い捨てカイロとミカンにアルファ米、そして、温かいスープを差し入れ、今後の炊き出しのスケジュールなどが書いてあるビラを配ります。寒さで凍える人へ渡す毛布も持っていきました。「あなたたちのことを心配している人がいる、決して見捨てないというメッセージを伝えたい」。出発の前の集会では、声掛けの大切さが伝えられます。私たちは関内エリアを周りました。「こんばんは、温かいスープ召し上がりますか」と声を掛けると、仕事のこと生活のことを沢山話してくれる方もいました。

 パトロールから戻ると、時刻は23時過ぎ、参加者でスープの残りを飲んで冷えた身体を温め語り合い、1日を振り返りました。寿越冬闘争に参加して強く感じたのは、人にとって誰かとつながっている、ひとりじゃないということがいかに大切かということです。わたしたちの団結の力が、いかに一人ひとりに勇気を与えているかを再認識しました。

稲葉一良(書記次長)

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