プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

労働組合は互いに助け合う組織。組合員は「お客さん」ではありません

 新しい加入者を迎えており、新型コロナウイルス感染対策で、組合の仲間が集まる機会が減っているため、組合の主旨や目的についても改めてお伝えします。
 組合に加入するときに必ずご説明していることですが、労働組合は、問題の解決を請け負ったり代行したりするところではなく、組合員自身が、主体的に自分の労働条件の維持向上のために主人公となって活動に取り組むのを、組合の仲間どうし助け合い、支え合いながらともに目的を達成していくところです。
 組合の役員も専従(組合から行動費を支払っている専従役職員)である私自身も、ほかの2人の専従役職員も、役割の違いはあっても、私たちは、労働者どおし、組合員どうし、目的のためにともに助け合って活動する仲間です。

 会費を払っているだけでは強くなれない
 労働組合は、「組合費を払っているのだから何をしてくれるのですか」というお客さんのような姿勢で臨むところではありません。お客さんのメンタリティは、最小限の費用と労力で最大の効果を得ようとするものですが、労働組合は、助け合いの組織なので、お客さんとして関わる組合員の割合が大きくなると組合が弱くなってしまいます。
 お客さんのメンタリティでは、自分自身が(会社との関係において職場の問題を解決していけるという意味での)強くなることもできません。
 プレカリアートユニオンが相当の交渉力を持っているのは、各職場で、組合の事務所内外で主体的に活動している組合員がいるからです。
 組合費を払っているだけでは、自らも組合も強くすることはできません。例えていえば、毎月ジムやスポーツクラブの会費を払っていても、自分でスポーツクラブに行って体を動かさなければ、体を鍛えることはできず、力を強くすることもできません。
 ジムやスポーツクラブの会費を払っているから、誰かが自分の手足を動かして筋肉を鍛えてくれるわけではありません。
 組合も同じで自分で、自分が自分の人生の主人公として強くなるには、仲間と助け合い、自分の体を動かして主体的に活動をする必要があります。

 組合のあらゆる活動は助け合い
 街宣に参加したり、チラシをポスティングしてくれたり、組合事務所でチラシを折ったり、書類をシュレッダーにかけるといった作業を手伝ってくださっている組合員が何人もいます。支部の組合員の日常の仕事や生活について相談を受け、本部と共有して対応してくれる支部役員がいます。組合は、組合員自身の主体的な活動によって成り立っています。
 もちろん組合活動はノルマではありません。誰かがこのくらい活動をしているから、自分も同じようにしなければならないという義務はありません。
 役員、専従を含む組合員が、働く者の力を高めるための夢や構想を話し合いながら、それぞれ一定の費用と労力を出し合って、法的に様々な権利が保障されて力を持つ労働組合を維持しているのです。
 組合員と組合役員、専従者はともに助け合う仲間であり、役員や専従者が組合員にサービスを提供する関係ではありません。
 加入時には、このような主旨をご説明していますが、「自分が組合にとってクライアントなのだからもっとこうすべきだ」という不満を表明される方もなかにはいらっしゃいます。クライアントではない、という点だけ誤解のないように繰り返しご説明しています。
 私も含め役員も専従も欠点のある人間です。クライアントだから、ということではなく、仲間どうしのコミュニケーションをする上で、お互いにもっとこうしたい、こうありたい、こうしていきたいというご意見は、どんどんおっしゃってください。

 非常に活発な活動のなかで
 役員も専従も体は一つですし1日は24時間しかありません。私個人のことを言えば、ほぼ組合活動に身を捧げている状態ですから、緊急なことに対応していれば、同時に他のことには対応できない場合もあります。
 プレカリアートユニオンの活動は非常に活発です。忙しぶるのは恥ずべきだと思いますし、個人の過重な活動に依拠するのはいいこととではなく、改善が必要ですが、徹夜で仕事をすることもあります。
 私自身は、多忙なことや活動の負荷が強いことはまったく厭いません。
 ただし、私を含む専従の時間や労力という資源を組合や組合員が有意義に使うという意味では、連絡のとりかたに軽重をつけ、工夫をしていただく方がよいこともあります。
 これは特定のどなたかのことではありません。職場でご自身をとりまく状況で不安がいっぱいであったり、自分のことをまず分かってほしいということになりやすい、お気持ちはよく分かります。
 とはいえ、電話でゆっくり話せるかどうかを事前に確認していただく方が、私を含む専従も余裕をもって話せると思います。専従以外の役員は、働きながら組合活動をしています。電話に出られることもあれば、出られないこともあります。
 また、急に解雇された、仲間が労災事故で倒れたといった、急を要するご相談なのか、事情を書いてメールで確認を求めればよいことなのか、優先順位をつけてご連絡いただくと、組合全体にとって有意義です。

 助け合ってこの困難を乗り越えよう
 不安定な雇用や生活をしてきたこと、職場で嫌がらせをされた、などさまざまな事情で、精神的に不安定であったり、困難を抱えていたり、利己的であったり、同僚や経営者への恨みが強かったり、多罰的な考え方に傾きがちな方もいます。
 交渉や活動の手法については、組合としてできること、できないことをしっかりお伝えして話し合っています。当事者が、やりたいことをやりたいように会社に求められるとは限りません。自分を取り巻く状況を客観的に、合理的に把握することも必要です。
 私たちはともに助け合う仲間です。同じ職場や支部の仲間に、このような組合の主旨を誤解している方がいたら、仲間どうしてぜひ伝えあってください。
 新型コロナウイルス感染拡大によって、介護、警備の職場を中心に影響が広がっています。お子さんの学校が休校で働けない日を有給の休暇としてほしい、という相談も寄せられ、交渉をした結果、有給の休暇とすることが実現できました。
 会社都合の休業を社員には10割補償するのに、非正規労働者には6割しか補償しないといった労働相談も寄せられ、団体交渉を申し入れています。人と会う機会が減り、気持ちが落ち込みやすい仲間もいるでしょう。組合のつながりを確かめ合い、助け合って、これから起きる事態を乗り越えていきましょう。

 清水直子(執行委員長)

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