プレカリアートユニオンブログ

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瞬間毎に移り変わる感情に振り回されないための1冊。『〈新版〉自分を支える心の技法』(名越康文著/小学館新書)

『〈新版〉自分を支える心の技法』(名越康文著/小学館新書)

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 人は誰しも心に怒りの感情を抱く生き物です。しかし、怒りに振り回される人とそうでない人がいます。「自分を支える心の技法」は、そんな怒りのストレスで疲れ果てないための自分の心との向き合い方を解説した1冊です。著者の名越康文氏は、思春期精神医学、精神療法を専門とする精神科医です。自らの意思としての知見に基づく考察を、わかりやすく記しています。
■人の感情は一瞬で変わる
 著者の分析は多岐にわたりますが、その中でも、すぐにでも取り入れられそうな考え方が、「人の感情は一瞬で変わるものである」という認識です。この認識は、仏陀の考え方に基づくものです。人の心は絶えず移り変わり、笑っていたと思ったら、急に悲しみがやってきたり、苛立ち怒りがやってくるものです。一瞬の感情そのものは絶対的なものではなく、それに惑わされてはならないという考え方をすることで、自分の感情と一瞬距離を取ることができ、怒りに飲み込まれてしまうのを防ぐことができるのだそうです。皆さんも、自身を振り返って様々な外的要因により、感情が都度移り変わっていくのが自覚できると思います。怒りと向き合うには、まず自分の心と向き合う必要があるわけです。
■怒りに呑まれると疲れ果て、能力が落ちる
 ところで、なぜ、怒りをコントロールしなければならないのでしょうか。著者は、怒りは能力を落とし、自身を消耗させるものとしています。つまり怒りに振り回されてしまうと思ったような結果が出せなかったり、怒りそのものにより疲れ果ててしまうのです。怒りは正しく使えば武器になるものですが、上手くコントロール出来なかった場合、心身を蝕むこともしばしばです。労使紛争には、様々な怒りの感情が渦巻きます。それらを巧みに捉え、みんなで抱いている同じ怒りを使用者に向けて正しく使うことができた場合、労働組合は強い力を発揮することができます。自分の心と正しく向き合い、しっかりと闘うために怒りを巧くコントロールすることはとても大切なことなのです。とても読みやすい本なので、ぜひ一読を勧めます。
 稲葉一良(書記長)

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