プレカリアートユニオンブログ

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分かりやすいイラストで学ぶ私たちの抵抗(プロテスト)の歴史。『プロテストってなに? 世界を変えたさまざまな社会運動』(アリス&エミリー・ハワース=ブース著/青幻社)

分かりやすいイラストで学ぶ私たちの抵抗(プロテスト)の歴史

『プロテストってなに? 世界を変えたさまざまな社会運動』(アリス&エミリー・ハワース=ブース著/青幻社)


 世の中を動かすのは誰でしょうか。政治家や独裁者、大企業などは大きな影響力を行使し世の中を動かしていますが、決してそれだけではありません。私たち市民の力は太古の昔より社会をそして世界を動かしてきました。『プロテストってなに?~世界を変えた様々な社会運動~』は、アリス&エミリー・ハワーズ=フーズによる共著です。
 著者はイギリスのロンドンに暮らすきょうだいでエミリーは作家イラストレーター、アリスはグラフィックデザイナーライター、共に社会運動に積極的に関わってきました。本書は世界を変えた様々な運動の中から非暴力でかつ特徴的なものをピックアップして時代や手法、切り口ごとに12の章に分けて、豊富でわかりやすいイラスト共に紹介しています。
■「抵抗の歴史」をスラストでわかりやすく紹介
 有名な話ですが、ストライキの起源は古代エジプトにまで遡ります。過酷な労働の対価としての食料は僅か、労働者達は待遇改善を求めて仕事を放棄し座り込みを行い要求を勝ち取ります。権力者は確かに大きな力を持っていますが、民衆が一斉に抵抗(プロテスト)することで、自らの権利を守り、強い者の思い通りにさせないことができます。
 当然、弾圧され暴力的(ときには軍事力をもって)に排除されることもありますが、私たちの歴史は権力に対する抵抗の歴史でもあり、その有り様や手段も実に様々でアイデアとバラエティに富んだものであるということということが本書を読むと視覚的にもよく伝わってきます。
■木に抱きついて伐採に抵抗した「チプコ運動」
 本書で紹介された行動の中で個人的に特に印象に残ったのは、1970年代にインドで行われたチプコ運動です。スポーツ用品メーカーが木の伐採をしテニスラケットにして儲けようとし、州より材木の利用権全てを割り当てられます。木の伐採により土砂災害の被害に遭っていた山間部の人たちは州首相に訴え出るも現状は変わりません。
 そこで住民はメーカーより先に現地入りをし、木が伐採されないよう太鼓などを打ち鳴らしてメーカーを追い払います。州首相はメーカーに代わりの土地の権利を割り当てます。しかし、その土地の人々も抵抗の構えを見せ、攻防は長く続きました。そのうち州首相は3番目の候補地に目を付けます。その際に地域住民が取ったプロテストの方法は木に抱きついて離れない(チプコ)というものでした。実効性が高くかつ極めてユニークなこの手法は地方の伝わる昔話から着想を得たもので、さすがに州首相もメーカーも伐採を諦めざるを得なかったという話です。
 今も世界中で様々な形で差別や貧困、自然破壊、反戦などの様々なテーマで非法力での抵抗運動は繰り広げられています。特に日本では、これらの行動を一部の勇気ある市民が実行に移すと揶揄したり非難する声が大きく上がりがちですが、決定権者を問題に直面させるために非暴力の直接行動は非常に有用な手段です。そして、それらは差別者や権力者の利己的な思惑から私たち自身を守る行動なのです。

稲葉一良(書記長)

 

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