プレカリアートユニオンブログ

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【いなばのブックレビュー】 ユニオン運動を次世代に繋いでいくために私たちが学ぶべき闘い方。『反骨の争議屋「東京ユニオン」物語』(髙井晃著/論創社)

【いなばのブックレビュー】

ユニオン運動を次世代に繋いでいくために私たちが学ぶべき闘い方

反骨の争議屋「東京ユニオン」物語』(髙井晃著/論創社

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 ユニオン運動は、ひとりひとりに寄り添い職場の様々な問題に取り組み解決することで、ひとりひとりが尊重され安心に働くことができる社会の実現を目指している。この取り組みは世代を越えて行わなければならないものであり、先輩方の闘いの軌跡を学ぶことはとりわけ重要だ。『反骨の争議屋「東京ユニオン物語」』は、東京ユニオン立ち上げに携わり初代委員長を務め、全国ユニオンを設立し初代事務局長を務めた高井晃氏(現:シニアユニオン東京執行委員長)の著書。1979年、32歳で創設した東京ユニオンの闘いを主軸に半生を振り返り様々な困難にどのように立ち向かったか、そして、どのように勝利したかを克明に記す。
■社会の不条理と闘い続け労働運動へ。32歳で東京ユニオン設立に携わる
 著者は石川県で生まれた。大阪府八尾高校のサッカー部で活躍した。大学に進むまでのエピソードや逸話を見ても、その義憤からくる「反骨」は生来備わったものだということがよく分かる。納得がいかないこと不条理なこととは徹底的に闘う、その姿勢はユニオン運動においても社会の不条理と闘う基本姿勢としてぶれず変わらない。
 ホームルームをストライキし、生徒のものとして取り戻したこともあった。恩師の不当配転に反対し校長らと闘った経験で労働運動に触れる。「こういう場合って、労働者はどうするんだろう? どうしたら対抗できるのだろうか」とビラ撒きや署名などで抵抗するも決定を覆すには至らず、戦略の重要性について考えるきっかけとなった。その後、学生運動を経て労働運動に身を投じ32歳で東京ユニオン立ち上げに関わり初代委員長となった。
■工夫を凝らした様々な争議。「年越し派遣村」では社会を動かした
 本書で紹介される様々な争議はどれも実に印象深く時にユニークだ。著者はありきたりな争議をするのではなく、常に工夫を凝らし臨機応変にそして何より戦略的に争議をデザインし解決に導いてきた。
 そのなかでも、渋谷で社前に屋台を出して争議資金を調達した屋台争議、童謡「森のくまさん」の替え歌を流して闘ったキンカ堂との解雇撤回闘争が特に印象的だった。闘い方・発想ともに全く古さを感じず、読んでいてわくわくする。他にも自主再建の闘いや、労働委員会の適正化、団交拒否を「やり徳」にしないために裁判での追及を行った話など、面白いだけでなく様々な闘い方のヒントを得ることができる。
 政権を打倒することにも繋がった「年越し派遣村」の成功はこういった創意工夫の集大成でもあるのだということがあらためて理解できる。
 私たちが取り組むユニオン運動は先達の運動の上に成り立っている。社会的労働運動として、社会変革のための労働運動として結果をしっかりと出していくためにも世代を越えた取り組みは不可欠だ。体験や知恵ノウハウをしっかりと受け継ぎ自分たち自身も次世代に運動を残していく必要を痛感した。著者のような時代を切り開いた先駆者達の話を直接聞き学ぶ機会が次世代を強くしていく。会えるうちに物怖じせず積極的に話を聞きに行ってみようと思う。

稲葉一良(書記長)

 

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