プレカリアートユニオンブログ

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日本に生きる私たちこそ知る必要がある、声を上げてアメリカを変えた10人の軌跡。 『私たちが声を上げるとき アメリカを変えた10の問い』(和泉真澄、坂下史子、土屋和代、三牧聖子、吉原真理著/集英社新書)

日本に生きる私たちこそ知る必要がある、声を上げてアメリカを変えた10人の軌跡


『私たちが声を上げるとき アメリカを変えた10の問い』(和泉真澄、坂下史子、土屋和代、三牧聖子、吉原真理著/集英社新書

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 日本のジェンダーギャップ指数(2023年度)は146カ国中125位と更に低下した。G7加盟国の中で100位以内にすら入れていないのは日本だけである。特筆すべきは分野別で見て最も順位が低かったのが「政治」ということ。政治家や閣僚に女性が極めて少ないことを表す。所謂意思決定の場に女性がいない日本の男性中心の社会構造は数字の上でも浮き彫りになっている。
 『私たちが声を上げるとき~アメリカを変えた10の問い』は同志社大学教授・和泉真澄氏、立命館大学教授・坂下史子氏、東京大学大学院准教授・土屋和代氏、同志社大学大学院准教授・三牧聖子氏、ハワイ大学教授・吉原真里氏、5人の女性アメリカ研究者による共著。アメリカを変えた勇気を持って声を上げた女性たち10名を何故どのように声を上げ、その結果何が起こったかから今の私たちに問われていることは何かを分析した1冊。
■社会を動かした10人のエピソードから見えてくる「声を上げる」こと
 本書では、プロテニスプレイヤーの大坂なおみを始めとし、ローザ・パークス、ルース・ベイダー・ギンズバーグら計10名のエピソードを2部構成で紹介する。第1部は現在(2018~)声を上げる5名、第2部はこれまで(~1993)声を上げてきた5名をそれぞれ取り上げている。それぞれのエピソードはどのような変革を促したかだけに留まらず、どのようなバッシングを受け、どのようなバックラッシュが起こったかについても詳細に解説していることが本書の特筆すべき点。また、ローザ・パークスが有名なバス・ボイコット事件の後、活動家としてマイノリティであることを理由とする眼差しや偏見に苦しめられたことなどあまり語られないエピソードにも踏み込んでいく。ローザ・パークスの知られる活動家像にさえ差別の影が滲むことを知ることで差別の構造の本質に一歩近づくことができた。本書では真の意味で声を上げるということのリアルを浮き彫りにしている。
 先に述べたように日本のジェンダーギャップ指数は低迷の一途を辿っている。本書で取り上げているのはアメリカで声を上げた女性たちの物語だが、家父長制による女性をはじめとするマイノリティへの差別・排除という構造は全く類似するものと見なすことができる。「おわりに」では、何故このような本を共同で書くに至ったかという背景を説明すると共に、当初「彼女たちが声をあげるとき」というタイトルにする予定だったものがなぜ「わたしたちが」に変わったのかについても語られている。家父長制と闘い誰もが差別を受けることなく働き暮らせる社会を目指す私たちも、このエピソードを自分事として捉えしっかりと声を上げていかなければならない。

 稲葉一良(書記長)

 

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