プレカリアートユニオンブログ

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生死を左右する生活保護に対する正しい知識。簡単丁寧にノウハウを伝える1冊。 『学校では教えてくれない 生活保護』(雨宮処凛著/河出書房新書)

生死を左右する生活保護に対する正しい知識。簡単丁寧にノウハウを伝える1冊


『学校では教えてくれない 生活保護』(雨宮処凛著/河出書房新書)

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 「私たちが小学生の頃は、困ったら生活保護を受給するようにと学校で普通に教えられたものなのに」。以前、生活保護についてのニュースを見て母はこう呟いた。現在、社会保障の仕組としての生活保護が学校で教えられることがあっても、困ったら頼っていいなどと子供たちに自分事として教えられることはほとんどない。一部の議員の差別的発言などでスティグマ化が強まり、権利としての生活保護という考え方や正しい行使の仕方・知識から遠ざけられてしまう。『学校では教えてくれない生活保護』は、作家・雨宮処凛氏による1冊。著者のプロフィールに代えて以下のメッセージが添えられている「ちょっとした情報があるかないかで生き死にが分かれてしまうこの国で、誰もが知っておくべきこと、詰め込みました」。
■権利としての生活保護とそれをめぐる様々な誤解を解き正しい知識を伝える
 本書冒頭で、著者は「死なないノウハウ」=生活保護と表現している。ノウハウの言葉の通り、どんなとき、どのようにすれば申請できるのかを正しく知って活用することで生活の危機を脱することができるツールが生活保護だ。それは憲法に定める生存権を保障するためのものであり、国家の人々に対する義務。社会からのお恵み、施しの類いではなく、恥ずかしいものでも何でもない。また、地域・仕事・介護など合理的な理由に基づくものならば車を持っていても受給できることもあるし、持ち家でも資産価値が2~3千万円程度まで(自治体により異なる)なら所有し住み続けながら受給することができる。借金があっても、所持金(貯金)が完全にゼロでなくても受給できる。この本は、読者からスティグマや上記に挙げたような誤解を取り払い、正しい知識・活用法をしっかりと伝えてくれる。それだけでなく所謂水際作戦に遭ってしまったときどのような人達に助けを求めることができるかについても紹介している。
 本書は「14歳の世渡り術」というシリーズの1冊である。このシリーズの対象について出版社は「中学生以上、大人まで」と位置づけている。わかりやすい言葉で丁寧に解説しながら水際作戦やその対策は勿論、海外の生活保護事情、生活保護を取り巻く昨今の情勢についても触れるなど内容も充実している。生活保護は命の問題、そして誰もが明日頼るかも知れない問題であるということを認識し、本書を読み正しく支援できるようにだけでなく正しく自分自身が受給することができる知識を身につけたい。
 稲葉一良(書記長)

 

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