プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

労基署の資料にも登場。CSR(企業の社会的責任)の観点からも早期解決を(田口運送・都流通商会残業代請求訴訟)

 茨城県の龍ヶ崎労働基準監督署が、「道路貨物運送業における労務管理上の留意点について」という文書を発表しています。→http://ibaraki-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/ibaraki-roudoukyoku/corner_kantoku/ryuugasaki/h2602_unsou.pdf

 運送業に関する相談件数のほか、事例研究の「自損事故を起こした従業員に対する会社の求償権について」では、自損事故を起こした運転手に対して弁償を求める金額を総額のうちのごく一部しか認めなかった最高裁判例を紹介しながら「運送業界では、従業員の自損事故などで会社所有のトラックの修理費がかかった際に、全額を従業員に負担させる会社が見受けられます。また、最近はそのような労働相談が目立っています。全額どころか1円たりとも負担しないでよいケースもありますので注意してください。」「車両保険に加入している場合には免責額が3万円、5万円で設定されていることがありますが、その免責額を全額従業員に負担させているケースも見受けられます。中には就業規則にその旨記載している会社があります。一般的に、労働者に過失があったとしても、それは自分個人の活動ではなく、使用者(会社)のためにその活動を担って行動していて、たまたま過失で事故を起こしたにすぎないのであり、そのようなリスクは使用者が企業を運営する上で予想し、保険などで備えておくべきリスクであると考えられます。車両保険の免責額まで従業員に負担させることは公平の観念から、また信義則の観点からも、適正な対応とは思われません。また、そのような対応では、会社はなんらリスクをとらないため、使用者に従業員の交通事故を抑止する動機づけが生まれにくいのも問題です。」と説明しています。

 また「労働時間等の管理について」という項目では、「例えば歩合制の賃金計算方法であっても、時間外労働の実績を把握し、それに応じた手当の支払いが必要である。」と説明して、田口運送残業代請求訴訟の記事を紹介しています。

http://www.47news.jp/CN/201305/CN2013052301001403.html
残業代700万円支払いを トラック運転手が提訴
 長時間労働が続いているのに残業代が未払いだとして、神奈川県に住むトラック運転手の男性(37)が勤務先の田口運送(東京都北区)に未払い分の計約700万円の支払いを求める訴訟を東京地裁に起こし、23日、東京都内で記者会見した。提訴は22日付。
 男性は会見で「多くのドライバーが同じ状況で働いていることを伝えたい」と話した。
 訴状や男性の加入する労働組合プレカリアートユニオン」によると、男性は08年、田口運送に正社員として入社。大型トラックの運転手として乳製品や冷凍食品を運んできた。
 勤務は1日11時間を超えるなど連日長時間で、深夜や早朝の仕事も頻繁だった。
2013/05/23 13:51 【共同通信

 さらに、長時間労働、過重労働対策として、把握した時間が、健康管理上の問題とならないか確認する、としています。

 さて、「取引先の労働環境を厳しくチェックする取り組みが、大手企業を中心に広がっている」ことを紹介した記事が『読売新聞』(2014年5月8日付)に掲載されました。→http://www.yomiuri.co.jp/national/20140508-OYT1T50009.html

 プレカリアートユニオンは、田口運送、都流通商会の残業代不払い問題の解決に向けて、田口運送、都流通商会へのはたらきかけを強めることはもちろんのこと、CSR(企業の社会的責任)の観点から、主たる荷主である雪印メグミルクにも問題解決を強く要請していきます。