コミュニティ・ユニオンの原点垣間見える集会
第37回コミュニティ・ユニオン全国交流集会inえひめ松山
「ともに学び ともに闘い ともにつなぎ 働く仲間の未来を築こう」
11月29日(土)、20日(日)の2日間、愛媛県松山市でコミュニティ・ユニオンの仲間が一堂に会する「第37回コミュニティ・ユニオン全国交流集会inえひめ松山」が開催され、全国から61団体、約250人が参加しました。
コミュニティ・ユニオンとは、企業別組合ではく、職場や雇用形態に関わらず誰でも1人から入れる労働組合です。プレカリアートユニオンもその一つ。
今年、プレカリアートユニオンからは、5人が参加しました。
■「空白県」でのユニオン結成、加入促進を進める
全体集会開会前に、国鉄四国トレインズの皆さんが労働運動を闘う現場の歌で参加者を迎えてくれました。40年前の国鉄分割・民営化反対の闘いのなかで生まれ、組合差別によりJRを不採用になった仲間を支えるなかでたくさんの歌が生まれたそうです。
大阪労働者弁護団の三輪晃義弁護士、地元選出の参議院議員永江孝子さん、社民党党首で参議院の福島瑞穂さんが来賓として挨拶を行い、日本被団協代表理事の松浦秀人さんのビデオメッセージが紹介されました。
1日目、29日はコミュニティ・ユニオン全国ネットワークの総会が行われ、今期の活動報告として、この数年間、次世代で経験共有および交流を行うという趣旨の集まりを持っていることなどが特徴的な取り組みとして報告される一方で、会計報告では会員である組合の会費未納があり、財政的に影響が出ていることが報告されました。
来年2026年度は、コミュニティ・ユニオンならではの課題である、労働相談のネットワーク拡大、労働組合への権利侵害への対抗、最低賃金の引き上げ、労働法制の改悪反対などのほか、100ユニオン・3万人のネットワークづくりをめざし、加盟がない空白県である15県(青森、宮城、福島、群馬、石川、福井、志賀、和歌山、島根、山口、高知、佐賀、長崎、沖縄)でのユニオンづくり、既存ユニオンの加盟促進、歓迎づくりを地方ネットワーク、近隣ユニオン、全国運営委員会が協力して進めるとともに、地方ネットの交流・強化を追求します、といた具体的な方針が承認されました。
■労働現場と伊方原発建設差止訴訟の報告
特別報告として、JAL被解雇者労働組合(JHU)から、2010年12月末に不当解雇されたパイロット81人、客室乗務員84人の解雇は利益を最優先にするためにモノ言う労働者の排除と労働組合弱体化を狙ったもので安全を損なうこと、希望者全員の原職復帰、解決金の支払い、謝罪を求めて15年間闘い続けていることが報告されました。
ほかにも、きょうとユニオンの取り組む東本願寺大谷専修学院争議の支援要請、札幌地域労組非常勤講師ユニオンの取り組む北星学園大学の非常勤講師の賃金切り下げを食い止めた成果報告、スクラムユニオン・ひろしまの取り組む出雲にある「M製作所」で働くブラジル人労働者の組織化について報告がありました。
51年前に結成され、平和の歌や闘いの歌を歌い続けている愛媛合唱団の方が、会場の参加者とともに「里の秋」などを歌い、1983年の広島平和音楽祭に出演した際に美空ひばりも歌った「一本の鉛筆」などを披露。
記念講演として、「伊方原発運転差止訴訟12年半の闘い」をテーマに弁護団事務局長である中川創太弁護士が、今年3月18日、松山地裁で伊方原子力発電所3号機の運転差止を求めた住民の訴えを棄却する判決(原告は控訴)が出されたことについて、地震による土砂崩れや津波などにより近隣住民の避難経路が確保されていないにも関わらず、住民の生命や身体を侵害する具体的な危険性は認められないと結論付けた判決を批判しました。講演のなかで、中川創太弁護士は、石川県珠洲市高屋町に建設計画のあった珠洲原発は、地元住民が市役所での40日間にわたる座り込みなどの抗議を継続し28年後の2003年に計画凍結に至ったこと、建設予定地だった石川県珠洲市高屋町は、2024年1月の能登半島地震で住宅の大半が壊れ、陸路も海路も閉ざされて孤立状態に陥っており、もし原発が建設されてたら住民の避難が困難だったことにも言及しました。
長年の苦しい反対運動が、能登半島地震による原発事故を回避し、多くの人を救うことになったのでした。労働運動や多くの社会運動にも通じるものがあります。
■排外主義に対抗し仲間を守ろう
1日目の締めくくりにレセプションで全国の仲間と交流し、さらにその後、全国ユニオンの仲間と「もっと」交流しました。
2日目、30日は、コミュニティ・ユニオンにとって重要な10の分科会が行われ、プレカリアートユニオンの参加者は、ユニオン運動を確実に未来へ残すことを目指す分科会(第4分科会)や同一労働同一賃金(第9分科会)などの分科会に分かれて参加。
しめくくりに向けた全体集会では、特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)共同代表理事で中小労組政策ネットワークに参加する鳥井一平さんが、特別アピールを行いました。鳥井一平さんは、コミュニティ・ユニオンが各地で取り組んでいる外国人労働者の権利擁護の問題について、排外主義的言説が流布されていることに対抗する全国キャラバンへの協力を呼びかけ、「労働法が入管法の前に立ちすくまない」ことを示そうと訴えました。
■他のユニオンはどうしているのか?
オプション企画である女性交流会、全国ネット訪韓団報告会(韓国非正規労働者ネットワークとの交流)、脱原発・被爆労働問題交流会にもそれぞれ参加しました。
日頃直面している組織課題について、他のユニオンの取り組みや韓国の非正規労働者の労働運動の取り組みを聞いて、さらなる創意工夫をしようと思ったことでしょう。
来年は、プレカリアートユニオンも分科会の企画を出してみようかと話し合っています。
今年の全国集会のテーマは「ともに学び ともに闘い ともにつなぎ 働く仲間の未来を築こう」でした。穏やかな気候、静かな瀬戸内海、のんびりした路面電車、柔らかい泉質の道後温泉にほっとしながら、四国・愛媛の実行委員会の皆様の心のこもったご対応をいただき(会場には、あの「蛇口からみかんジュース」が設置されていました)、取り組みながら力をつけるべく開催を引き受けたというエピソードも拝見し、コミュニティ・ユニオンの原点を見るような思いがしました。来年2026年は愛知県名古屋市での開催が決まっています。また1年、各地で頑張って、来年お会いしましょう。
清水直子(執行委員長)
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