プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

『東京新聞』2013年5月24日朝刊に商品事故問題など。記者会見の様子も

東京新聞に商品事故の弁償問題や長時間の未払い残業など、トラックドライバーの労働問題が取り上げられました。昨日の記者会見の様子も伝えられています。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2013052402000166.html
東京新聞 <はたらく>「同意なく天引きされた」 運転手の自腹弁済に反響
2013年5月24日

 梱包(こんぽう)材の段ボールに傷が付いた程度で「事故商品」として、トラック運転手に弁済させる問題に反響が広がっている。六月一日には、支援する労働組合が、電話相談を受け付ける。中身の商品には問題なくても、自腹弁済を強いる現状を放置すれば、日本の物流の底が抜けると警告している。(三浦耕喜)

 「物流の現場は、運転手に過大なリスクを負わせる異常事態に陥っている。日本の物流の担い手はどうなってしまうのか」

 トラック運転手の労働問題に取り組む労組「プレカリアートユニオン」(東京都渋谷区)の清水直子書記長は、二十三日に厚生労働省で開いた記者会見で訴えた。

 本紙がこの問題を報じたのは四月二十六日。食の安全に敏感になっていることを背景に、商品をトラック輸送する際、中身が無事でも梱包材に傷が付くと受け取りを拒否されることが多発。景気低迷が続いたことから、会社が損失をカバーせず、運転手に中身を丸ごと店頭価格で弁済させるケースが頻発している現状を伝えた。

 記者会見には、未払いの残業代を求めて東京都内の運送会社を訴えた運転手(37)も同席。運転手は「長ければ一日二十時間も働かされる。サービス残業を強いられ、その上、事故商品の弁済金も給与から勝手に天引きされている」と証言した。

 記事を読んだ岐阜県笠松町の男性(27)も、本紙に証言を寄せた。昨年十月に退職した愛知県内の運送会社から、最後の月の給与精算として、マイナス二十五万円余りの明細書を今月になってから受け取った。一昨年八月に起こした自損事故での修理代や商品の弁済金として、約四十四万円が天引きされたためだった。天引きに本人が同意した覚えはない。

 男性は「事故前の何日かは激務続きで、一時間しか寝る時間がなかった」と状況を説明。「天引き以外にも、積み荷の廃棄処分にかかった費用が請求され、それも全額払わされた。人を使って商売しながら、それで起きることのリスクは有無を言わさず、運転手に負わせることには納得いかない」と強調した。

 過酷な職場環境は、若年層の不人気にも直結している。国税庁の民間給与実態統計によると、二〇一一年度における運輸・郵便業の労働者約三百十六万人のうち、二十代の割合は9・1%。三十代の半分、四十代の三分の一という少なさだ。

 〇七年の道路交通法改正で、普通運転免許では四トントラックなどの中型車を運転できなくなったことも、若者の就労が難しくなった背景にある。記者会見で証言した運転手も「昔は、運転手は体ひとつで家族を養えたが、今や割に合わない仕事となった」と話した。

 裁判で運転手の原告代理人となった棗(なつめ)一郎弁護士は、自腹での弁済問題について「事業のリスクは経営者が負うべき。労働者に転嫁するのは根本的におかしい」と指摘している。

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◆支援労組が電話相談
 トラック運転手の自腹弁済問題で個人加盟の労働組合プレカリアートユニオン」の電話相談「商品事故ホットライン」=電03(6276)1024=は、6月1日午後1〜6時に受け付ける。メールでの相談は常時受け付ける。会社のパソコンからは送らないこと。アドレスはinfo@precariat-union.or.jp