プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

田口運送・都流通商会 横浜地裁相模原支部判決を受けた紛争の早期解決のための要請書

2014年5月9日

田口運送株式会社
代表取締役 田口精一様

都流通商会株式会社
代表取締役 田口精一様
代表取締役 西山一郎様

全国コミュニティ・ユニオン連合会全国ユニオン
会長 鈴木剛
プレカリアートユニオン
執行委員長 大平正巳
田口運送・都流通商会支部

  横浜地裁相模原支部判決を受けた紛争の早期解決のための要請書

 2014年4月24日、横浜地裁相模原支部は、組合員を含む原告のドライバー4人に2年分の残業代約4300万円の支払いを命じる判決を出しました。

 貴社と代理人は、待機時間は休憩時間で労働時間ではない、などと主張していましたが、判決では「原告らは、集荷場における荷積み待機時間など、トラックを走行させていない時間であっても、当該トラックを管理しており、停車中のトラックから自由に離れることはできず、配送先の従業員らからトラックを動かすよう指示があれば、いつでもその指示に従ってトラックを移動させなければならないなど、当該トラックを保管管理する業務から完全に開放されたものではないから、上記待機時間を休憩時間ということはできない。」と判断しました。

 また、貴社と代理人は、労働時間と関わりのないいくつかの手当を残業代だと主張していましたが、判決では「被告は主張する業績給のうち、職能給は乗務する車種によって支給するもの、成績給は運送料金・走行距離によって支給されるもの、職別給は作業の難易度によって支給するものとされているところ、これらの手当は、休日労働時間外労働及び深夜労働が行われたかどうかとは無関係に支払われるものであるから、通常の労働時間に相当する部分と割り増し賃金に相当する部分とを明確に判別することはできず、休日労働、時間外労働及び深夜労働の対価として支払われたものといえないから、賃金規定の規定にかかわらず、これらの手当を割増賃金に代えて支払ったということはできない。」と判断しました。

 貴社と当労働組合は、残業代の不払い、組合員の労働条件の不利益変更などをめぐって、交渉・訴訟を行っています。また、残念なことに、団体交渉での貴社代理人弁護士の対応が不誠実であることから、労使紛争になっています。会社の健全な発展のためにも、このたびの判決を受けて、田口運送株式会社と都流通商会株式会社が、誠実に団体交渉に応じ、残業代不払いなどの問題を早急に解決し、健全な労使関係を構築するよう、上部団体である全国ユニオンとともに、改めてここに要請します。

 これまで、貴社が話し合いによって問題を解決せず、問題を先送りするために必要となった弁護士費用は、総額どのくらいに達しているでしょうか。さらに、代理人が誠実に団体交渉に応じないために、東京都労働委員会の不当労働行為救済申し立てに対応するために必要となった弁護士費用があるのではないでしょうか。それは、実際に会社に貢献している労働者にまわすべきでものです。

 貴社代理人と同じ石嵜・山中総合法律事務所の弁護士が代理人を務める株式会社リコーでは、誠実に団体交渉を行わなかった(不誠実交渉)として、東京都労働委員会で今年2月26日に、「(出向・配転の)人選理由と過去の人事考課の開示」、「事業再編に関する説明外1点を協議事項とする団体交渉における会社の対応は不当労働行為と認定され、今後このような行為を繰り返さないよう留意すること」という命令が交付されました。

 当労組組合員は、労使ともに利益になるよう、早期に紛争を解決し、業務を通じてさらに会社に貢献したいと考えています。

 この度の原告の完全勝利判決を受け、田口精一社長におかれましては、組合との団体交渉をこのような不誠実交渉を行う弁護士任せにせず、自ら団体交渉に出席され、早期解決のために賢明なご判断をされるよう改めて要請いたします。田口精一社長または会社側の交渉ご担当者と、本件担当役員との事務折衝を希望される場合は、いつでも書記長・清水までご連絡ください。



雨のなか、全国ユニオンの争議行動・フライデーアクションで、田口運送へ申し入れをしました。全国ユニオンの仲間のみなさん、いつも有り難うございます!

 毎週金曜日に行われているフライデーアクションで、田口運送の自社ビル本社に行ってきました。いつ見ても立派なビルで「儲かってます」と言わんばかりに、社長の自宅同様に財力を誇示するために建てたのではないかと思うほどです。
 全国ユニオンの仲間と駅から本社に向かう前に、高ぶる気持ちに応えるかのように突然雨が降ってきました。傘が4つしかなかったので、4人で要請書を届けにいきました。本社では役員はいなくて組合対応担当(?)の営業のKさんが出てきました。要請書自体は受け取りましたが、何度も来られている意味を理解していないんだと分かりました。
 私たち組合には争議権という権利があります。「ストライキ」という言葉を聞いたことがあると思いますが、ストライキは通常の業務を行わずに会社に損害を与える争議権の1つです。私たちもストライキ中の給料はもらえませんが、会社は業務が滞ってしまい、消費者や荷主など取引先に与える印象は良いものではありません。数年前には、プロ野球労働組合ストライキをしました。電車やバスが止まると困るように、荷主に牛乳を運ぶように言われているのに運べないと困りますよね!
 会社は、大勢で本社や取引先に抗議をされたり、ビラをまかれたりされている意味を理解していませんし「被害者だ」としか思っていないかもしれません。今までの経緯を知らない人は、組合が会社をいじめているように映るかもしれませんが、会社側代理人の弁護士も認めているように組合の当然の権利であり、法律で認められています。組合ではなく個人としてやると、ストライキに関しては損害賠償を求められたり解雇の対象になりますし、逮捕されることもあります。
 なぜ、組合は、争議権を行使しているのか? といえば、会社や社長が誠意ある対応をしないからです。会社は従業員に対して指示や命令はしても、従業員個人の意見や要求を聞く義務はありません(しかし、労働組合から正式に団体交渉という話し合いを求められたら、会社や社長は拒否することができません)。だから、気に入らないからといって辞めさせたり、おどかして労災を使わせなかったり、恣意的な配車で退職に追いやったり、破損した商品を弁償させたりすることができます。奴隷のように従業員を操るのです。
 皆さんは、自分が奴隷だとは思っていませんよね。しかし、年齢的に再就職は難しい。破損したのは自分だし責任はあるから弁償する。腰や膝が痛いけど運転手だから労災が通るか難しいらしく、会社に迷惑かけて目をつけられるかも、だから何も言わないでおこうか……そんなふうに思っていませんか。
 社会人としてある程度の我慢や努力や諦めは必要だと思いますが、しかし本当にそこまで何も言えないのでしょうか?「会社に言っても何も変わらない」と言う人がいますが、会社は、組合から正式に申し入れられたのでなければ交渉に応じる義務はありません。面倒なことは改善しないでしょう。人を見て言い方を変えたり、ガス抜きをしています。組合に加入されたり訴えられないように、ごく一部の要求だけ聞き入れ満足させるのです。
 しかし基本的には聞き入れる義務はないので、継続しなかったり、景気が悪いとか理由を付けて要求をなくしていくでしょう。もし組合がなければ、今まで通り好き勝手にしていたことでしょう!
 何も言わなければきちんと伝わらないし、後ろ楯がないと文句も言えず、定年まで大人しく過ごして生活保護を受けることになるかもしれません。しかし組合に入り会社と交渉を進めて歩み寄り、老後に向けて安心を掴みませんか? 退職金を増額させませんか? しかし、会社は、組合に対してきちんと対応をしてるわけではないのです。しかし組合には争議権もありますし、労働委員会労働組合法違反を是正する裁判所のようなところ)に救済を求めたりできます。つまり、現在争議をしているのは、会社が誠意ある対応をしない不当労働行為をしているからです。どんな不誠実な対応かというと……。
 同意もしていないのに勝手に給料から高速道路料金を天引きして同意したと言い張る
 ボーナスの査定に不公平があり査定一覧の開示を求めても拒否
 配車の不平等があるので配車表の開示を求めても拒否
 会社が残業代を正しく払っているというので毎月の計算根拠の開示を求めても、裁判手続きに合わせたタイミングでしか開示でいないと回答
 会社の対応がおかしい理由の一つに、会社代理人の弁護士の姿勢があります。「組合には歩み寄らない」「折り合って合意しない」ということです。何故なら弁護士たちは、問題が解決してしまえば、お金になりません。会社の利益ではなく自分たちの利益のために組合と折り合わないのです。でも、そのために会社は信用を失い、金銭的にも損害を被っています。今の弁護士を頼って良かったことはいくつありますか? 失ったこといくつありますか?