プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

全日本トラック協会に「固定残業代制の悪用」「荷物・車両事故の賠償問題」の改善を要請

3月20日、全国ユニオン春闘アクションの一環として、全日本トラック協会全日本トラック協会に「固定残業代制の悪用」「荷物・車両事故の賠償問題」の改善を要請。厚生労働省交渉でもドライバーの労働環境を訴えました。


2015年3月20日
全日本トラック協会
星野 良三 様

全国コミュニティー・ユニオン連合会(略:全国ユニオン
会長 鈴木剛
プレカリアートユニオン
執行委員長 大平 正巳
担当役員・書記長 清水 直子
〒151−0053東京都渋谷区代々木4−29−4
西新宿ミノシマビル2F
TEL03−6276−1024 FAX03−5371−5172

 運送会社ドライバーの長時間・過重労働の原因となる固定残業代制の悪用
 運送会社・引越会社のドライバーが借金を背負わされる荷物・車両事故の賠償問題
 について改善を求める要請書


1、運送会社ドライバーの長時間・過重労働の原因となる固定残業代制の悪用

 運送業界で、適正に残業代を支払わない固定残業代制の悪用が拡大し、長時間・過重労働を慢性化させる原因となっています。仕事の種類や乗っている車の大きさ、無事故手当など、残業代の性質がない手当を時間外賃金だということにして、残業代を支払わないというやり方です。これらの固定残業代制の悪用を指南する弁護士や社会保険労務士も存在し、トラック協会がこのような手法を広めているとも聞きます。
 労働時間は延びる一方、賃金は下がり続ける運送業界では、人手不足も深刻です。運送業界を健全に存続させるためにも、今こそ、労使が力を合わせて運送業界の労働条件の引き上げることが必要です。日本の流通の根幹を支えるトラックドライバーが、仕事に見合った賃金を得て、健康を維持し、将来の展望を持って働けるようにするため、田口運送判決を真摯に受け止め、ドライバーの固定残業代制悪用問題を改善するよう求めます。

2、運送会社・引越会社のドライバーが借金を背負わされる荷物・車両事故の賠償問題

 運送業界・引越業界で、通常の注意を払って就労中の労働者が起こした事故については、事業を営んで利益を上げている会社が負うべきリスクであるにもかかわらず、労働者に損害賠償を請求したり、給与から一方的に弁償金を請求するケースが後を絶ちません。

 業界健全化のために、会社が負うべき損害の賠償を労働者に強いることのないようご指導をお願いします。

※田口運送判決 プレカリアートユニオンの組合員を含むドライバー4人が、田口運送株式会社に残業代を請求した裁判で、2014年4月24日に、横浜地裁相模原支部(小池喜彦裁判官)が、原告の主張を認め、同社に2年分の未払い賃金と同額の付加金の支払いを命じる判決をだた。同裁判所は、「各種手当てによって時間外賃金を支払ったとはいえない」「待機時間も労働時間」と判断している。その後、2014年7月25日、東京高等裁判所で地裁判決に沿った内容で原告ドライバーが勝利和解。その後の訴訟も2015年2月に和解。