プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

現代社会の「流行病」とも言われる自閉スペクトラム症の入門書。『自閉スペクトラム症 「発達障害」最新の理解と治療革命』 (岡田尊司著/幻冬舎新書)

www.gentosha.co.jp自閉スペクトラム症発達障害」最新の理解と治療革命』 (岡田尊司著/幻冬舎新書)


現代社会の「流行病」とも言われる自閉スペクトラム症の入門書


 自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害を抱える人は決して少なくありません。『自閉スペクトラム症発達障害」最新の理解と治療革命 』は学校や職場での不適応、DVや虐待などの家庭内のトラブルの要因にもなりやすい自閉スペクトラム症についての最新の知見や、どのように当事者と向き合うべきなのかについてのヒント等を記した1冊です。著者は長年メンタルヘルスソーシャルスキルレーニングに携わってきた、山形大学客員教授、岡田クリニック院長、日本心理教育センター顧問の岡田尊司氏です。
■特性により生じる「生きづらさ」精神疾患罹患率も高い
 自閉スペクトラム症は、これまで、自閉症、広汎性発達障害アスペルガー症候群など様々な呼ばれ方をしていました。本書では、その特性について「人とのやりとりが苦手、音やにおいなどに敏感、自分のやり方やルールにこだわりすぎる…つまり、自分がなじんだもの以外を受け入れにくい特性のため、生活に支障が出る状態」とまとめています。現代社会の流行病とも言われ、増加の一途を辿っているといいます。その原因は遺伝によるものであるという説が長らく主流でしたが、近年、物質的要因、晩婚化、産科的要因、養育要因など、様々な要因が考えられています。当事者は総じてその特性により生きづらさを生じがちであり、鬱など精神疾患の発症率も定型発達の者と比べ高いようです。
■「どのように接するべきか」のイメージがしやすい構成
 本書では、様々な症例、仮説、回復例を紹介し、自閉症スペクトラムを抱える人とどのように接していくべきか、どのようなアプローチが回復に繋がるか、また、どのように接することで傷つけてしまうのか等について分析し、読み手に対するアドバイスを記していて、具体的な配慮の仕方を考えることができます。特に、第4章「特性に応じた、進路、適性、生き方」では、特性毎に具体的にどのようにトレーニングをし適職を見つけていくのかについて、弊害だけでなく強みにも焦点を当て複数の例を挙げて記されており、実際のサポートのあり方がイメージしやすくなっています。
 自閉スペクトラム症が、職場での不適応の原因になることは冒頭にも示した通りです。特性故にパワハラや解雇などの被害にも遭いやすいということは容易に想像がつきます。相談を受けるときなどは、より本人に寄り添った対応ができるようにしっかりと知識を身につけていく必要があります。本書はとても読みやすく、かつ網羅的に知識を吸収することができるため、入門のための1冊として最適です。
 稲葉一良(書記長)

 

【労働相談は】
誰でも1人から加入できる労働組合
プレカリアートユニオン
〒160-0004東京都新宿区四谷4-28-14パレ・ウルー5F
ユニオン運動センター内
TEL03-6273-0699 FAX03-4335-0971
メール info@precariat-union.or.jp
ウェブサイト https://www.precariat-union.or.jp/
ブログ https://precariatunion.hateblo.jp/
Facebook https://www.facebook.com/precariat.union
twitter https://twitter.com/precariatunion
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCAwL8-THt4i8NI5u0y-0FuA/videos
LINE労働相談 https://page.line.me/340sctrx?openQrModal=true

f:id:kumonoami:20220302125511j:plain