プレカリアートユニオンブログ

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ジェンダーギャップ指数世界116位の日本にジェンダー平等に根ざした新しい労働世界を。『新しい労働世界とジェンダー平等』(浅倉むつ子著/かもがわ出版)

ジェンダーギャップ指数世界116位の日本にジェンダー平等に根ざした新しい労働世界を。『新しい労働世界とジェンダー平等』(浅倉むつ子著/かもがわ出版

 コロナ渦で女性の貧困がますます深刻化し、女性労働者の比率の高い、介護の現場で多くのクラスターが発生したことは皆さんも周知のことと思います。「新しい労働世界とジェンダー平等」は朝倉むつ子氏による著書。同氏は東京都立大学法学部教授、早稲田大学法務研究科教授、日本学術会議会員、日本労働法学会代表理事ジェンダー法学会理事長などを歴任し、現在は、女性差別撤廃条約実現アクション共同代表、国際女性の地位協会共同代表を務めています。本書で著者は「新しい労働世界」を「『ケア労働』社会的に不可欠な労働として尊重する世界、そこに働く人々の環境と賃金を重視する世界」と位置づけます。
■新しい労働社会にジェンダー平等の視点は必須
 コロナ渦で様々な危険にさらされたケア労働を行う人々。「エッセンシャル・ワーカー」として、緊急事態下でも社会システムの機能のために働き続けることを求められたそのほとんどは非正規であり、低賃金に喘ぐ労働者です。その犠牲の上に私たちの命や健康が守られているという現実に照らせば、現在の労働社会の歪みが明らかになってきます。その根底には家庭においてとかく女性にばかり(特に育児を中心とした)家事負担を強いる伝統的な家父長制的価値観が横たわっています。それ故にジェンダー平等の視点なしでは新しい労働社会は実現しないと考えます。
 本書はコロナ渦での人々の生活の変化の振り返りからはじまり、従来型の「人材活用の仕組と運用」による平常時の日本のジェンダー格差の実態、エッセンシャル・ワーカーの直面する困難、国際基準から大きく立ち後れたジェンダー平等に関わる労働法制の展開、労働時間と賃金に関するジェンダー平等の法政策の提起、暴力とハラスメントのない労働社会実現のための展望を示し、女性差別撤廃条約の選択議定書の批准をあげ、権利侵害を受けた個人が国内で救済されない場合に直接国連に救済を求めることができる制度である個人通報の導入について提案され締めくくられます。日本のジェンダーギャップ指数は世界116位と極めて低いのが現状です。その原因と分析そして対策についてしっかりと把握することができる1冊です。

 稲葉一良(書記長)

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