プレカリアートユニオンブログ

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「正義」の戦争等と安直に捉えず、そこで失われる命の尊さを見つめてほしい。『即時停戦!』(アソシエーションだるま舎 土田修編著/社会評論社)

「正義」の戦争等と安直に捉えず、そこで失われる命の尊さを見つめてほしい


即時停戦!』(アソシエーションだるま舎 土田修編著/社会評論社

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 『即時停戦! 砲弾が私たちを焼き尽くす前に』は、アソシエーションだるま舎・土田修氏編著の1冊で昨年末に刊行された。2022年2月から続くウクライナ戦争、翌2023年10月に始まったイスラエル軍パレスチナでのジェノサイドは刊行から半年を経た今なお収束の兆しを見せない。
 本書は4つの章立てからなる。第1章はG7広島サミットを前に学者・専門家・ジャーナリストらが出した「Ceasefire Now! 今こそ停戦を」の中心的メンバー3名へのインタビュー、第2章は「今こそ停戦を」をテーマに開催されたシンポジウム参加者3名の発言、第3章はこの問題に関するその他5名のエッセイを収録している。終章となる第4章では、フランスの月刊誌ル・モンド・ディプロマークの日本語版からのウクライナパレスチナ問題に関する翻訳記事を5本転載している。
■「正義」のための戦いで多くの一般市民が犠牲になった
 あらためて、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった当時を思い起こしてほしい。ゼレンスキー大統領の侵略との戦いへの決意表明に日本でも与野党問わずスタンディングオベーションが起こった。その後、ウクライナ=善、ロシア=悪という構図で報道は行われ、しばらくの間ウクライナを非難するような意見は厳しく非難の対象となった。果たしてウクライナの闘いは「正義」だったのか。戦闘開始から2年以上の月日が流れ未だ多くの市民や兵士が命を失っている。ウクライナ市民の被害は甚大だ。その裏で各国は武器を提供し時として利権をむさぼっている。為政者が自国の正義を旗印に多くの市民を死に至らしめたことについて私たちは強く非難しなければならない。ロシアとウクライナは速やかに戦争を止めるべきだ。
■レッテル貼りにより非人間化が進みジェノサイドへ繋がる
 ガザ地区で行われているジェノサイドについて、ネット上などで「ハマスはテロリストだから殺してもいい・仕方がない」などの言説が目に付く。本書はハマスが民主的に市民より選ばれた「政体」である点を指摘する。「テロリスト」、「悪の枢軸」等とレッテルを貼り殺戮と戦争を正当化するのは昔からよく使われた手段だ。私たちは決してその誘いに乗ってはならない。人が人を殺す理由を正当化したとき、人を人でないと見なしたとき、差別と分断が生まれジェノサイドに繋がる。日本で関東大震災の時に起こった朝鮮人虐殺は紛れもないジェノサイドである。日本は虐殺の上官責任を厳しく問うジェノサイド条約を批准しておらず、差別を容認し殺戮を仕向けた為政者が虐殺についての責任すら負わない構造になっている。川口市でのクルド人を巡る言説にも強い憤りと不安を感じる。私たちはあらゆる差別、非人間化を助長する言説と徹底的に対峙し闘っていかなければならない。
 本書4章の最後に紹介されている記事は2023年の11月、本書の刊行直前のものである。本書は正に「即時」に「停戦」を求め緊急出版されたものだといえる。当然のことながら戦争が1日でも長引けばより多くの罪なき市民が命を落とすことになる。日本にも新しい戦争の影が迫っている。「戦争反対」と声を上げることを躊躇っている猶予はない。
 稲葉一良(書記長)

 

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