プレカリアートユニオンブログ

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労災認定されにくい精神疾患で働けなくなったら活用したい。『就労にまつわる障害年金 請求・相談のポイント』(高橋裕典、加賀佳子、萩原秀長、宇代謙治、中曽根晃共著/日本法令)

『就労にまつわる障害年金 請求・相談のポイント』(高橋裕典、加賀佳子、萩原秀長、宇代謙治、中曽根晃共著/日本法令
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 ブラック企業労務管理は人の心も身体も蝕みます。近年、長時間労働パワハラ、イジメなどで精神疾患に罹患する労働者は増加の一途をたどっていますが、長時間労働以外の精神疾患が労災と認められるケースは極めて稀です。その場合、次に検討するべきは障害年金の受給です。本書では、精神疾患や様々な病気等による障害年金の受給申請のポイントをわかりやすく具体的にまとめています。

障害等級の認定基準
 障害年金は1級~3級に分けられていて、各等級に応じて年金の支給水準が変わってきます。簡単に、3級は「障害により労働が著しい制限を受けるもの」、2級は「障害により日常生活が著しい制限を受けるもの」、1級は「日常生活が困難で常時の援助を要するもの」とされています。労働に制限を受ける3級、日常生活に制限を受ける1級、2級と考えるとわかりやすいと思います。

等級の決め手はポイント制
 精神障害の審査にあたっては、症状が認定基準に達しているかどうかを「等級判定ガイドライン」を用いてポイントで判断します。例えば、買い物や通院などの日常動作のそれぞれの項目に対して、「(1)自発的にできた」から「(4)助言指導してもできない、もしくは行わない」までの4段階で評価し、その平均値が何点かを等級決定の目安とし、認定のばらつきを抑えているのです。

過少申告に注意
 年金が不支給になるケースでとても多いのが前述の「ポイント」不足です。特にうつ病などでは、患者さんが医師や周りに対して「心配させたくない」と実際の症状よりも軽い症状を申告してしまいがちです。それが診断書に反映されてしまい不支給へとつながるケースが多いのだそうです。日常動作に関して、できないことをはっきりとできないと伝えるのが大切です。

障害年金の適切な受給のために
 障害年金を専門とする社労士は全体のほんの一握りです。本書に掲載された情報は、適正に障害年金を受給するために、貴重で有益なものです。労災認定のされにくいパワハラなどでの精神疾患に対して、積極的に障害年金受給の可能性を検討していきたいと思います。
稲葉一良(書記次長)