プレカリアートユニオンブログ

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社長や管理職はせめてこれを読んでほしい。『管理職のための ハラスメント予防&対応ブック』(向井蘭著/ダイヤモンド社)レビュー

 私たち労働組合には、日々仕事の上での様々なトラブルに関する相談が寄せられますが、その中でも特に多いのが、パワハラ・セクハラといった職場でのハラスメントの問題です。本書は、主に管理職に向けて、どんな時、どんな条件下でハラスメントは発生してしまうか、自分が加害者にならないためには何を心がけるべきか等、具体例を用いて解説しています。著者の向井蘭弁護士は経営者側の弁護士として有名ですが、見方を変えると、ハラスメント防止のために弁護士がどんなことを企業にアドバイスしているのかが書いてあるともいえそうです。

なぜ対策が必要か
 たかがハラスメントと甘く見てはいけません。その影響が思いがけず甚大になるケースが増加しています。SNSの影響が大きい現代では、誰もが簡単に情報を発信することができることも要因の一つです。また、ハラスメントは被害者が最悪の場合死を選んでしまうような深刻な事態になり得る問題である点にも留意が必要です。

タイプ別のハラスメント対策
 本書では、パワハラをしてしまう人のタイプや理由を、詳細に13通りに分けてその対策とともに紹介しています。例えば、「部下いびり型」に対して、本人は部下に熱心に指導をしているだけという認識がある場合が多いのですが、まずは相手の貢献や実績を承認した上で、ハラスメントによる退職者が増えるようならば配置転換を考えるなど率直に問題について伝えるべきとアドバイスしています。セクハラ・マタハラ・パタハラ予防のポイントについても、それぞれ具体的なケースごとに防止策と行為者に対する対応の方針を示しており、職場でのハラスメント対策を網羅した内容です。

指針を明確にし啓発を
 ハラスメント防止のための措置として、本書では、アンケートの活用、研修の実施、ホットラインなど相談窓口からの積極的発信などを挙げています。また、トップが指針と判断、ハラスメントを許さないというメッセージを明確に発信し啓発を行っていくことこそが重要なのだといいます。6月のパワハラ防止法施行に際し、ぜひとも経営者、管理職の方に読んでもらいたい一冊です。

 稲葉一良(書記次長)

 

『管理職のためのハラスメント予防&対応ブック』(向井蘭著/ダイヤモンド社

www.diamond.co.jp