プレカリアートユニオンブログ

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闘う労働組合つぶしが 労働者の賃金を破壊する。『賃金破壊 労働運動を「犯罪」にする国』(竹信三恵子著/旬報社)

『賃金破壊 労働運動を「犯罪」にする国』(竹信三恵子著/旬報社

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『賃金破壊 労働運動を「犯罪」にする国』。恐ろしいタイトルです。
 著者はジャーナリストの竹信三恵子さんです。私がこのブックレビューを書くきっかけとなったのは、2021年11月12日、東京都千代田区にある連合会館で開催された、関西生コンを支援する会が主催する、「ジャーナリズムから見た関西生コン事件 第3回検証シンポジウム」に参加したことでした。当事件の書籍以外の媒体で、本件に関する根拠のある取材がなされものが圧倒的に少なく、私自身の目で本事件を直接取材されたジャーナリストの方々から話を聞きに行くだけでも「事実」が解るのではと思ったからです。
■当たり前の組合活動を犯罪に
 本書についてですが、組合員の方もご存じの方も多いかとは思いますが、メインとなるテーマは、「全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部」の労働組合が刑事弾圧を受ける、いわゆる公権力が憲法28条を侵害したとも思える事件です。非常に理解しがたいのですが、滋賀県をはじめとした、奈良県和歌山県大阪府等で労働組合に認められている行為をすべて暴力団の行為に読み替えて、逮捕者のべ89名、起訴された組合員78名を起訴にした点です。
 本件では、労働組合に認められた権利である①団体交渉を恐喝、②団体行動権ストライキ)を威力業務妨害と独自の解釈をし、また組合員が保育園に提出する就業証明を会社に依頼することさえ強要未遂とまで解釈されてしまっている事態でした。これでは労働者やその家族は当たり前の生活ができなくってしまいます。本書を読み進めていくと非常にたくさんの「組合潰し」が行われた約2年にわたる取材によって明かされていきます。
 その後、連帯ユニオン・関生支部の武委員長(当時)ら5人は一連の事件で、滋賀県和歌山県奈良県及び国を相手取って国家賠償法1条を東京地裁に訴えます。同法の要件は5つで①「公権力の行使」であること、②「公務員」の行為であること、③「職務を行うについて」発生した損害であること、④公務員に「故意または過失」があること、⑤「違法」に加えられた損害であることがあげられます。
 同法の趣旨としては国民の基本的な人権保護を図り、行政活動を事後的に統制しようとする点があります。また同法を持いることにより責任追及が容易になりますし、同法には免責事項がありませんので、損害賠償は免れません。このことから連帯ユニオンが今後、国やや行政活動が同じ間違いを起こしてはならないという決心が読みとられます。
■労働者だけでなく産業全体を守る活動
 本書からは、関西地区生コン支部という労働組合が、労働者や建設産業に貢献してきた事実が読み取れます。女性労働者の労働条件の維持向上にも熱心で、男性ばかりだと思われている建設現場に女子トイレを設置し、生理休暇の有給化、シングルマザーが自立していけるだけの賃金交渉など、実績を上げてきたことが分かります。元委員長の武さんは、労働者だけでなく産業全体の利益を追求したことが非常によく取材されています。このような労働組合を潰そうとすることが、労働者の賃金破壊につながります。
 F(組合員)

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