反中絶は支配の道具。リプロダクティブ・ライツを推進しファシズムと闘おう
『反中絶の極右たち なぜ女性の自由に恐怖するのか』(シャン・ノリス著/明石書店)
反中絶の問題と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。『反中絶の極右たち なぜ女性の自由に恐怖するのか』は、極右、排外主義、ファシズムと反中絶の深い関連性についてを論じる1冊。著者は作家兼、調査報道ジャーナリストであるシャン・ノリス氏。男性による女性への暴行や移民の権利、貧困と不平等など多岐にわたり執筆活動を行っている。翻訳はフリーランス翻訳者であり、女の空間NPO理事の牟礼晶子氏、巻末には名古屋市立大学人間文化研究科准教授で社会学、ジェンダー/セクシュアリティ研究を専攻する菊地夏野氏が解説を加えている。
■白人至上主義者が思想として持つ反中絶
はじめに断っておきたいのは、訳者あとがきにもあるように今のところ日本ではこの反中絶の問題は諸外国ほど直接的には大きな問題になっていないという点である。本書では、白人至上主義の極右がどのように反中絶を支配の道具としているか、その思想の背景に置いているかについて解説している。
しかし、当然のことながらこの新自由主義社会が蔓延する現代社会において、日本もこの問題と無関係ではなく既に深刻な兆しが見えているのを感じている。戦争を発生させ大企業に人々の経済的利益を集中させていく新自由主義にとって女性が子どもを産むことは重要なことであるということについては既にこのレビューでも論じたとおりである。
■ホワイトジェノサイドとは何か
アメリカでは移民が増えている。それにより、白人至上主義者たちは「ホワイトジェノサイド」の恐怖に怯えるのだという。簡単にいうと、白人として生まれた子どもの数より移民としてやってきた人々が、そして、その移民の子として生まれた子の数がどんどん増えていき、国から白人が根絶やしにされるのではないかという発想だ。
これが、極右排外主義者たちによる中絶禁止の根本にある。白人女性が自身で「生まない」という選択をするとホワイトジェノサイドはより深刻な問題となる。セクシャルマイノリティに対する差別の扇動の背景にもこの恐怖心が存在している。
■日本では中絶禁止は今のところ大きな問題とはなっていないが
「LGBTは生産性が低い」と言った極右差別主義者の与党政治家、「天皇は側室を持つべき」、「高齢の女性は子ども産めない」、「女子高生は大学に行かずに子どもを3人妊娠しなさい」などというカルト的ファシズム政党の政治家の発言を個々であらためて思い出してほしい。
このような発言をする政治家は揃いも揃って排外主義者である。今日本では排外主義のターンとなっているに過ぎず、極右・排外主義が反中絶をその先兵として用いるときは近い。
ホワイト・ジェノサイドどころか「ホワイト」という人たちの括り方と概念、この国でいうならば「日本人」という人を同規定するかということそのものが、そもそもいかに恣意的で差別のために用いられるものであるかということは先の選挙が示したところだと考えている。
世界中のどこでも、どんな境遇の人たちが差別を受け命の危険を感じずに生きることができるということこそ、反中絶の極右たちの唱える欺瞞に満ちた「命の尊厳」よりよほど大切なものではないだろうか。
稲葉一良(書記長)
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