プレカリアートユニオンブログ

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関西生コン支部に対する刑事弾圧は、労働組合否定する暴挙。旬報社刊『ストライキをしたら逮捕されまくったけどそれってどうなの?(労働組合なのに…)』

ブックレビュー『ストライキをしたら逮捕されまくったけどそれってどうなの?(労働組合なのに…)』(連帯ユニオン編著、小谷野毅編著、葛西映子編著、安田浩一著、里見和夫編著、永嶋靖久編著・旬報社

 連日のように様々なメディアで報道された連帯ユニオン関西地区生コン支部(以下、関生支部)の逮捕騒動。何の予備知識もなくそれらに触れれば、「関生という反社会的勢力のような労働組合が逮捕された」という認識を持つことでしょう。実はこの逮捕の理由は全く不当なものです。そればかりでなく一連の逮捕劇は、わたしたち労働組合に対する国家権力による大弾圧なのです。今回はそんな関生事件について書かれた連帯ユニオン著「ストライキしたら逮捕されまくったけどそれってどうなの?(労働組合なのに…)」の内容を踏まえ、事件の解説をしていきたいと思います。

どうして逮捕されたの?
 さて、どうして彼らは逮捕されたのでしょうか?その理由は本のタイトル通り「ストライキをした」からなのです。流石にちょっと信じられませんね。労働組合には争議権が与えられており、通常、組合の正当な活動としてのストライキは免責され罪に問われることはありません。私腹を肥やしたい協同組合クラッシャーが警察と結託して、ストライキを「威力業務妨害」、抗議を「強要」、「恐喝」、組合活動を「組織的犯罪」などと言い換えて組合員を次々と逮捕。労組法や憲法などお構いなしの、ありえない刑事弾圧を行なっているのです。

レイシスト集団を尖兵に組合潰し
 協同組合クラッシャーとは中小企業の共同組合理事たちの事を指します。彼らは生コンをできるだけ安く買い叩き私腹を肥やすため労働組合を目の敵にし、レイシスト集団を尖兵とし関西生コンに様々な妨害をしてきました。レイシストとはヘイトスピーチや差別デモを主導する差別者集団のことです。

組合員が暴行を受け大怪我
 金で雇われたレイシスト集団は、全く事実に反する内容のヘイトスピーチを街頭で行い、「企業ゴロ」「労組マフィア」といった発言で関生支部のイメージダウンを狙いました。それだけでなく、時には組合事務所に乱入し、侵入を阻んだ組合員を恫喝し暴行を加え大怪我をさせたこともあります。この乱入事件の際、組合会館前でクラッシャー達はレイシスト集団と一体であることを隠そうともせず、終始ニヤニヤとその光景を眺めていたといいます。

警察権力による組合つぶしの不当介入
 極めて威圧的で暴力的な組合潰しですが、今度は警察がこれに加担します。警察は一部の大企業と癒着関係にあり、強い労働組合である関生支部の力を削ぐ機会を伺っていたのです。冒頭に述べたように、「強要」「恐喝」「威力業務妨害」と様々な組合活動を全く見当外れな罪状を持って不当逮捕し、拘留中の組合員を「組合とは関わるな」等と脅かしたりしたのです。警察は巧みにメディアと連携し、関生支部=悪の構図を世の中に浸透させることに成功しています。

共謀罪のリハーサルには断固抗議の声を
 共謀罪により不当な人権侵害が行われる畏れがあるというはなしは皆さんも耳にしたことがあるでしょうか。これは、その共謀罪による逮捕のリハーサルとも目されています。関生支部だけの問題ではなく全ての労働組合にとって、憲法で保証された正当な権利を真っ向から否定するような振る舞いなのです。国家権力を用いて、不当な既得権益を得るために邪魔な労働組合を排除することが許されていいのでしょうか。この未曾有の事態を放置すれば、資本家と労働者のパワーバランスが極めて歪に傾き「労働者が正当な権利を主張すると逮捕されてしまう」恐ろしい社会になってしまいます。労働者の人権を軽視するこのような暴挙に対して、わたしたちは団結して抗議の声を上げなければなりません。

原稿執筆中にも再びの不当逮捕
 このレビューを書いている期間中にも、関生支部の委員長・副委員長の再逮捕が報じられました。組合員の所属する会社の倒産に際し、退職金の支払いを求め交渉を行ったことが「恐喝未遂罪」だというのです。本書を読むことで一連の事件の経緯だけでなく、これまでの関生支部の戦いの歴史や周辺事項の基礎知識、専門家の見解などこの問題に対する幅広い知識を身につけることができます。組合事務所に置いてありますのでぜひご一読ください。
稲葉一良(書記次長)

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