プレカリアートユニオンブログ

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生コンの安売りを食い止めた産別組合への不当判決。関西生コン支部大阪ストライキ2次事件判決報告集会

協定違反を開き直りレイシストを使った組合潰し
生コンの安売りを食い止めた産別組合への不当判決
関西生コン支部大阪ストライキ2次事件判決報告集会

 連合会館で行われた、関西生コン支部判決報告集会に参加してきました。共謀罪のでっち上げに加え、ビラ配りに30分参加しただけの組合員にまで執行猶予5年付き2年6月の懲役という、戦後最悪の司法判断でした。我々も労働運動へのこれ以上の弾圧を許さないためにも、連帯してともに闘いましょう!

 10月12日、「裁判所は生コン業界の組合潰しに加担するな!」のスローガンの下、連合会館で関西生コン支部大阪ストライキ2次事件判決報告集会が行われました。始めに、全日本建設運輸連帯労働組合の小谷野書記長がこれまでに不当に起訴された8件の事件に対するあらましを語りました。酷いケースでは、30分ビラまきに参加しただけの組合員が威力業務妨害で逮捕起訴されるという、常識では考えられない、あからさまな組合潰しの実態が語られました。
■ストの原因は協定違反
 はじめに全日建小谷野書記長より、問題の全体像が語られました。関西生コンの闘いは、生コンの安売りをさせないという運動でした。その結果として、2015年からどんどん生コンの値段は上昇しています。
 しかし、業界は協定事項に定めてあるにも関わらず、運賃の引き上げによる還元を行いませんでした。そのため2017年のストライキを決行するに至ったのです。そもそも一連の事件は業界の約束違反から始まったことです。その結果、威力業務妨害、組織犯罪だと協同組合が主張。対策室を作りレイシストを使った組合攻撃を始めるに至りました。

■戦後の裁判で一番酷い判決
 続いて、弁護人を務めた太田健義弁護士から、今回の西山さんらに対する判決について解説がありました。幸い実刑にはならなかったものの、労働事件どころか戦後裁判で一番酷い判決です。目の前に警察がいて、わざわざ捕まるようなことをする人はいません。このような当たり前のことを裁判所は一顧だにしなかったというのです。出荷を止めて圧力を掛けるのが目的なので一所懸命に抗議行動をしたことは事実だが、お金目的であり、正当な組合活動では無いという検察の主張には具体的な裏付けは一切なかった。証拠がないどころか、嘘をついてまで検察は論告をし、映像を使って、印象操作を行いました。
■検察の言いなりの判決
 今回の判決は、検察官の求刑通りで1月たりとも短くなっていないのです。けが人が一切無いにもかかわらず、この判決はあまりに重すぎます。執行猶予の5年間は目一杯。特に西山さん以外の1名は、初めてであるにも関わらずここまでの執行猶予期間を設ける理由はありません。
 判決は「強烈に」阻害など強烈にと言う表現を繰り返し使っており、先入観の強さがうかがえるともいいます。大きな声を出したことも問題とされましたが、声を荒げていけないなら、団体交渉もできない。労働組合の闘いは生活がかかった問題であるということへの理解が全くありません。
■こじつけの共謀罪
 また、判決分では「~は明らかである」を多用しています。太田弁護士は、このような表現をすることは、むしろ裏付けが無い証拠であるといいます。具体的に証拠からの認定ができていないため、「明らかである」ということにするのです。さらに酷いのは「共謀」の認定です。全く内容がなく「スカスカ」なものです。組合員は完全に黙秘していて証言はありませんでした。そんななかで唯一出てきたのが、「次の現場に移動して」という指示だけで威力業務妨害とは関係ないものでした。裁判所は連絡を取り合っているということだけを以て共謀認定をしたのです。こじつけでも、共謀を認定しなければ有罪にできないという、結論ありきの判断です。
■裁判官の産別組合への「無知・無理解」が不当判決を生んだ
 今回の裁判では、関西生コン支部の運動は産別であることに運動の意味がある、組合としての正当な活動だと主張してきました。判決文は組合活動への記述が本当に薄いもので、裁判官の産別労働運動に対する知識が全くないを裏付けています。裁判に際し、労働法の学者に意見書を書いてもらっていたが、判決ではこれも一顧だにされていなかったそうです。総括として、太田弁護士は「かなりずさんな判決だと思う。大阪高裁でいかにわかってもらえるようにするかが我々の仕事。武委員長には実刑が出ることも危惧されるほどである。裁判官も人間なので人の目を気にする。みんなで声を上げていくことでわかってもらう必要がある。全国の労働者に対する不当判決だ」と述べました。
 その後、参議院議員福島みずほ社民党党首や全日建の顧問である宮里邦夫弁護士らのスピーチが続き宮里邦夫弁護士(全日建顧問)、菊池進全日建委員長により閉会が告げられました。
 稲葉一良(書記長)

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